2008 Fiscal Year Annual Research Report
スプライシング機構をターゲットとした遺伝性神経変性疾患に対する治療戦略の確立
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19659221
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
渡瀬 啓 Tokyo Medical and Dental University, 脳統合機能研究センター, 准教授 (30376800)
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Keywords | 神経変性 / ポリグルタミン病 / 脊髄小脳変性症6型 / 治療 / RNA修復 / スプライス |
Research Abstract |
前年度に引き続き1.小分子化合物2.SMaRT法を用いてCACNA1A遺伝子エクソン47領域のスプライスパターンを変化させ、脊髄小脳変性症6型(SCA6)の治療戦略を確立することを目指した。1.伸長CAGリピートをCacna1a遺伝子に挿入したSca6ノックインマウスに対してsodium butyrateの慢性投与実験を行なった。その結果、投与群小脳においてtoxicなCav2.1スプライスアイソフォームであるMPIの発現増強が抑制され、この変化と連動してスプライス因子SRp75の発現増強が抑制されることを確認した。またIn vitroアッセイによりSRp75はCacna1a pre-mRNAと直接結合すること。さらにSCA6患者小脳組織においてもSRp75の発現が対照と比較して増強していることを見出した。これらの結果はSRp75の発現増強がスプライスパターンを変化させ、結果としてSCA6の病態に関与し、一方sodium butyrateはその発現を抑制することによりスプライスパターンを正常化させる作用を有することを示唆する。SCA6の治療にsodium butyrateが有用である可能性が考えられた。2.Cacna1a pre-mRNAをターゲットとして新たに改良を加えたさまざまなPTM(pre-transsplicing molecules)をデザインし、 PC12細胞やHEK細胞などにOacna1aミニジーンとともに共導入した後、RNA修復の有無の検討を行った。しかし、いずれのPTMにおいても有意なトランススプライシングは認められなかった。
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