2007 Fiscal Year Annual Research Report
内因性神経前駆細胞の制御による脳血鱈障室の神経再生治療法の研究
Project/Area Number |
19659223
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
水澤 英洋 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30144091)
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Keywords | 内因性神経前駆細胞 / 脳血管障害 / 神経再生 / ガレクチン-1 / ガレクチン-1中和抗体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、成体の脳内に存在する内因性神経前駆細胞の増殖・分化過程を制御することで、様々なタイプの脳血管障害を非侵襲的に治療する新しい治療法を開発することである。平成19年度は、スナネズミを用いた局所脳虚血モデルを作製し、まず脳虚血後にBrdU(腹腔内投与)を使用し神経前駆細胞を標識した。ガレクチン-1蛋白の治療効果を検討するためガレクチン-1を脳室内投与し対照群と比較し神経新生部位である側脳室壁において神経前駆細胞が有意に増殖するか、あるいはガレクチン-1中和抗体を投与し、神経前駆細胞の増殖が抑制されるかを検討した。この際に、経時的に増殖細胞数を測定するだけでなく、神経芽細胞あるいは神経細胞へ分化した細胞の割合を特異的マーカーと二重染色することにより検討し、また増殖した細胞の何%が生き残り、神経細胞に分化しているかを合わせて評価した。さらに、我々がすでに確立した行動評価法により運動麻痺、感覚障害、認知機能障害、自発性を含めた神経脱落症状の評価を4週間以上の長期にわたって実施した。また、神経脱落症状改善の有無に加え、内因性神経前駆細胞由来の神経細胞の生存部位と行動機能評価の責任病巣との関係を明らかにし、神経脱落症状改善のメカニズムを解明することを試みた。その結果、局所脳虚血に陥った動物の脳では虚血巣周辺と側脳室壁にてガレクチン-1の発現が充進し、脳室内へのガレクチン-1投与にて内因性神経前駆細胞が増加し、運動麻痺と感覚障害の有意な改善を認めた。逆に中和抗体の投与により内因性神経前駆細胞の有意な減少が確認された。これらのことにより、ガレクチン-1という生理的な内因性神経前駆細胞の増殖物質を用いることにより、局所脳虚血を治療出来る可能性が初めて明らかになった。
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