2007 Fiscal Year Annual Research Report
福山型筋ジストロフィーのレトロトランスポゾンによるmRNA転写障害解明と治療開発
Project/Area Number |
19659226
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永井 義隆 Osaka University, 医学系研究科, 准教授 (60335354)
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Keywords | 脳神経疾患 / 筋ジストロフィー / 遺伝子 / 発現制御 / 転写 / 核酸 / トランスポゾン |
Research Abstract |
福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は、先天性筋ジストロフィーにII型滑脳症と眼奇形を伴う常染色体劣性遺伝性神経・筋疾患である。FCMD患者の多くは、fukutin遺伝子3'非翻訳領域内のSVAレトロトランスポゾンの挿入変異によりmRNAの転写量が低下して発症するが、fukutin mRNA低下の分子メカニズムは未解明である。本研究では、SVAレトロトランスポゾン挿入によるfukutin mRNA低下の分子メカニズムを解明し、それに基づく治療法の開発を目指して以下の研究を行った。 1.野生型fukutinあるいはSVAレトロトランスポゾン挿入を持つ変異型fukutin遺伝子を、テトラサイクリン依存的に発現誘導できるHEK293細胞株293/wt-fuk、293/SVA-fukを用いて、経時的なfukutin mRNA転写量・分解速度を検討した結果、293/SVA-fukではmRNAの分解亢進よりも、遺伝子発現抑制によりfukutin mRNA転写量が低下すると考えられた。2.293/wt-fuk、293/SVA-fuk細胞株およびFCMD患者由来線維芽細胞を用いて、Nuclear Run-Onアッセイを行った結果、fukutin pre-mRNA転写開始には明らかな障害を認めなかったが、SVAレトロトランスポゾン付近でのpre-mRNA伸長障害を見出した。3.FCMD患者由来線維芽細胞を用いてクロマチン免疫沈降を行った結果、fukutin遺伝子プロモーター領域では明らかな障害を認めなかったが、SVAレトロトランスポゾン挿入付近でヒストンH3のアセチル化が有意に低下していた。 以上の結果から、FCMDではSVAレトロトランスポゾン挿入によりその付近でのヒストンのアセチル化障害が生じてfukutin pre-mRNAの伸長が障害され、その結果mRNA量が低下すると考えられた。
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Research Products
(5 results)