| Research Abstract |
これまで申請者らは,低分子量GTPare Rab27aとそのエフェクター蛋白質granupbilinが,インスリン分泌顆粒の細胞膜ドッキングおよびそれに引き続く膜融合過程を制御することを報告してきた。本研究では,野生型マウス膵β細胞およびこれら分子を欠損したマウスの膵β細胞にインスリンーGFPをコードするアデノウィルスを感染させて分泌顆粒を可視化し,その細胞膜ドッキングおよび膜融合過程を,全反射顕微鏡で解析することを目的とする。対象として1)野生型C3Hマウス,2)Rab27a遺伝子変異ashenマウス,3)granuphilin遺伝子欠損マウス,4)Rab27a/granuphilinダブル欠損マウスの膵β細胞を用いた。その結果,野生型膵β細胞は,グルコース刺激後初期相においても,細胞膜直下の顆粒に加え,細胞膜より離れた部位からの開口放出が認められた。さらにgranuphilin欠損細胞において,細胞膜にドッキングした顆粒が欠如しているにもかかわらず,顆粒の開口放出数は増加していた。一方,Rab27a変異細胞では,細胞膜近傍の非ドッキング顆粒からの開口放出が減少しており,Rab27aはgranuphilinの作用部位より深部に位置する顆粒に作用していることが示唆された。これらの知見は,Rah27aとgranuphilinが細胞内で複合体を形成するにもかかわらず,異なる作用を有していることを示している。
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