2007 Fiscal Year Annual Research Report
新しいインスリンの標的分子TRPV2:インスリン作動性チャネルの生理的意義の確立
Project/Area Number |
19659233
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
小島 至 Gunma University, 生体調節研究所, 教授 (60143492)
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Keywords | インスリン / カルシウム / イオンチャネル / TRPV2 / β細胞 |
Research Abstract |
カルシウム透過性陽イオンチャネルTRPV2は膵β細胞に発現している。TRPV2チャネルの特徴として,細胞内での局在がリガンド刺激により大きく変化する点が上げられる。すなわち非刺激時には細胞内プール,主として小胞体上に存在しているが,インスリン様増殖因子(IGF-l)などの刺激により細胞膜に移行し,カルシウム透過性チャネルとして機能する。β細胞でのTRPV2の調節機構やその意義を明らかにするため,MlN6細胞を用いて検討を行った。その結果,非刺激時に細胞内プールに局在したTRPV2は,インスリンを投与すると細胞膜上に移行した。細胞外ドメインにc-MycをもつcMyc-TRPV2を導入してインスリンを作用させると,細胞外にc-Mycが露出することから,インスリン刺激により細胞膜に移行したTRPV2は膜に埋め込まれてチャネルとして機能することが示された。このインスリンの作用は,インスリン受容体をノックダウンすると消失することから,インスリン受容体を介する作用であると考えられた。一方,高濃度グルコースを投与してインスリン分泌を亢進させた場合にもTRPV2の細胞膜移行が認められた。この時,diazoxide でインスリン分泌を抑制すると膜移行は消失し,分泌されたインスリンがオートクリン作用によりTRPV2を移行させると考えられた。また高濃度Kの投与によりインスリン分泌を刺激しても同様の効果が観察された。一方,TRPV2のチャネル機能を抑制するtranilastを投与したり,あるいはTRPV2発現をノックダウンさせると高濃度グルコースによるインスリン分泌だけでなく,高濃度Kによる分泌も抑制された。また細胞増殖もtranilastやTRPV2ノックダウンにより抑制された。以上の結果から,TRPV2は分泌されたインスリンのオートクリン作用により調節されるチャネルで,インスリン分泌や増殖調節に関与していると考えられた。
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