2007 Fiscal Year Annual Research Report
自己抗体による免疫担当細胞からのサイトカイン分泌増強を介した骨髄不全病態の解析
Project/Area Number |
19659243
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中尾 眞二 Kanazawa University, 医学系研究科, 教授 (70217660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 恭夫 金沢大学, 医学部附属病院, 助教 (10322116)
杉盛 千春 金沢大学, 医学系研究科, 協力研究員 (30422645)
高松 博幸 金沢大学, 医学系研究科, 協力研究員 (70401932)
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Keywords | モエシン / 抗モエシン抗体 / ERK1 / 2 / シグナル伝達 / TNF-α / FcRγ |
Research Abstract |
抗モエシン抗体がどのシグナル伝達経路を介してTNF-α分泌を誘導するかを明らかにするため,細胞表面にモエシンを発現している白血病細胞株THP-1や末梢血単核球に,患者面清から精製した抗モエシン抗体を添加し,TNF-α分泌経路に関与するキナーゼ(ERK1/2,p38 MAP,c-JNK)阻害薬を添加レてその影響を調べた。また,抗モエシン抗体のFabフラグメント,F(ab)_2,FcγR阻害剤を加えてTHP-1からのTNF-α産生が低下するか否かを検討した。THP-1に抗モエシン抗体を添加するとERK1/2キナーゼが時間、用量依存的にリン酸化されERK1/2やSykキナーゼ阻害剤は用量依存的に抗モエシン抗体によるTNF-α分泌を抑制した。一方,p38 MAPやc-JNK阻害剤にはこのようなTNF-α分泌抑制作用はみられなかった。また,F(ab)_2フラグメントを添加した場合THP-1からのTNF-α分泌はintact抗体添加の場合の約60%であり,Fabフラグメントの添加ではTNF-α分泌はみられなかった。次に,抗モエシン抗体のFc部分の機能に着目してFcγR阻害剤を添カロしたところ,抗モエシン抗体によるTHP-1からのTNF-α分泌は60%抑制された。また,モエシン特異的shRNA添加によってTHP-1表面のモエシンの発現は抑制され,抗モエシン抗体添加によるTNF-α分泌は41%減少した。一方,LPS添加によってTHP-1表面のモエシン発現は増強され,抗モエシン抗体によるTNF-α分泌促進も44%増加した。以上の所見から,抗モエシン抗体をTHP-1に添加することによってFcγRやモエシンのcross-linkingが生じ,その結果SykやERK1/2経路が活性化されることによって,単球系細胞からTNF-αが分泌されると考えられた。
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