2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨免疫調節ホルモン/サイトカインによる造血制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
19659246
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松井 利充 Kobe University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10219371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 義雄 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (80397885)
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Keywords | 活性型ビタミンD / 造血幹・前駆細胞 |
Research Abstract |
本研究では、ホルモンやサイトカインでの骨代謝調節と、造血免疫システムへの影響について検討している。予定通りビタミンD受容体欠損(VDR-/-)マウスのSPF化を終え、神戸大学医学部動物実験施設で繁殖させている。現在までの検討では、末梢血白血球数、脾臓でのリンパ球数、骨髄細胞数や造血前駆細胞数など、血液学的にはこの遺伝子欠損マウスには大きな異常は見られなかった。CD45.1マウスを用いた競合的骨髄移植モデルで、6ヶ月にわたる造血幹細胞レベルの生着と造血維持能を検討したが、野生型と変わらず、造血幹細胞レベルでも、正常造血環境内であれば正常に振る舞うことが示された。また、過去に異常を報告されていたVDR-/-マウスのTリンパ球を用いて、同種骨髄移植後移植片対宿主病(GVHD)モデルの検討を行ったが、野生型と同程度の移植後急性GVHDが発症し、リンパ球機能は移植後のホストの体内では正常であることが示唆された。現在、VDR-/-由来造血前駆細胞や幹細胞の骨髄から末梢血への動員効率を検討している最中である。異常が見られれば、それが幹細胞の異常であるのか、造血環境側の異常であるのかを確かめる予定で、これに必要な移植によるキメラマウスを作製中である。 これらの知見と今後のメカニズムの解明によって、研究目的である造血システムにおける骨代謝、特に活性型ビタミンDを中心にしたホルモン調節の機構が明らかにされ、活性型ビタミンDやその受容体を標的とした造血制御のための分子標的薬の開発に重要な基礎データとなると思われる。
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