2007 Fiscal Year Annual Research Report
TSLPが骨や関節の恒常性と炎症性関節炎の病態に果たす役割
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19659252
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中尾 篤人 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (80317445)
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Keywords | TSLP / 椎間板 / 炎症 / ヘルニア |
Research Abstract |
Thymic stromal lymphopoietin(TSLP)は上皮細胞から産生され樹状細胞を活性化しアレルギー性炎症を惹起する鍵となる分子と考えられている。一方、我々はTSLPが関節内の線維芽細胞様滑膜細胞から、炎症性サイトカインであるTNF-αの刺激によって高度に産生されることを見いだした。この知見はTSLP分子がアレルギー性炎症だけでなく骨や関節の恒常性の維持あるいは炎症性関節炎の病態に何らかの役割をしている可能性を示唆した。 そこで本研究では骨や関節の恒常性の維持機構や炎症性関節炎の病態においてTSLP分子が果たす役割について明らかにするため、関節に存在する種々の骨細胞群(骨芽細胞、軟骨細胞、破骨細胞)の増殖、分化、特異的機能に与えるTSLPの影響について解析した。 マウス及びヒト由来の種々の骨細胞群におけるTSLP産生及び反応性について検討した結果、マウス椎間板細胞は、TSLP受容体を発現しTSLPの刺激によりMCP-1を産生しマクロファージを椎間板に遊走させることを見出した。さらにヒト椎間板ヘルニア患者病変部においてTSLPの発現が有意に上昇していることを見出した。 以上の知見は、椎間板ヘルニアの病態形成においてTSLPが深く関与していることを示唆した。これらの結果は、TSLPが骨や関節の恒常性維持や疾患病態において重要な分子であるとする我々の仮説を支持する。
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