2008 Fiscal Year Annual Research Report
TSLPが骨や関節の恒常性と炎症性関節炎の病態に果たす役割
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19659252
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
中尾 篤人 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (80317445)
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Keywords | TSLP / 椎間板 / MCP-1 / マクロファージ |
Research Abstract |
Thymic stromal lymphopoietin(TSLP)はIL-7様のサイトカインとして同定されたが、近年、喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の病態形成に深く関与していることが明らかになり、注目を集めている分子である。 本萌芽研究の目的は、このTSLP分子が、アレルギー疾患だけでなく、関節や骨などの骨関節の生理や病態において果たす新たな役割について明らかにすることである。 我々は、本年度、TSLPが椎間板細胞において、炎症性サイトカインであるtumor necrosis factor-α (TNF-α)の刺激によって高度に産生されること、またTSLP受容体が椎間板細胞において有意に発現しており、その活性化がマクロファージの遊走因子であるMCP-1の発現を誘導しそれによってマクロファージの椎間板への遊走を促進することを明らかにした(Ohba et al. Arthritis Rheumatism 2008)。また椎間板ヘルニア患者の病変部位には、TSLP分子の強い発現が認められることも明らかにした。 以上の結果は、TSLP分子がアレルギー疾患だけでなく、骨関節疾患とりわけ椎間板ヘルニアの病態形成において重要な役割を果たしていることを示唆した。椎間板ヘルニアの自然退縮機構においては、MCP-1やマクロファージが重要な役割を果たしていることから、我々の見出したこの新しい知見は、TSLPが椎間板ヘルニアの重症度や予後を判断するための新しい指標となる可能性を示唆した。
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