2007 Fiscal Year Annual Research Report
食物アレルギーを血液と唾液から総合的に診断する新規ハイスループットデバイスの開発
Project/Area Number |
19659253
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 博 The University of Tokushima, 疾患酵素学研究センター, 教授 (50144978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 博司 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教授 (30343304)
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Keywords | アレルギー / 蛋白チップ / IgE / アレルゲン / 唾液 / ダイヤモンドライクカーボン / 食物アレルギー / 新生児診断 |
Research Abstract |
近年先進国ではアレルギーが国民病として位置づけら大きな社会的な関心が集まっているがその原因物質(アレルゲン)と原因(エピトープ)の診断方法の開発は遅れている。本研究では、アレルゲン診断の諸問題を克服する画期的な方法を提案、検討した。2.5Aのダイヤモンドの結晶格子にカルボキシル基を導入した蛋白チップの作成に関する基本設計と基本反応系の技術をこれまでに確立している。このチツプはこれまでにない高密度集積技術が実現され、抗原蛋白質を約20倍の濃度に共有結合させうる。この技術を用いて、僅かな血液(1・1)、あるいは唾液、涙液、鼻汁などの体液を材料として、約64抗原(食物アレルゲン)の診断を可能にした診断チップを作成した。その結果、現在世界で最も広く用いられているCAP-RAST法で1検体に要する血清が50・1であるのに比べ、1・1で64抗原の検査が可能になり、血清の利用効率を約3,000倍に促進した。さらに従来感度不足から体液を材料にしたアレルギー検査に限界があったが、本アレルゲンチップを用いる事で、CAP-RASTの測定限界をさらに1/10にまで低下させ、患者への負担の少ない体液診断が可能となった。このような技術革新を背景に、臍帯血を用いた新生児のアレルギー診断も世界で最初に可能となり、乳幼児期から始まる食物アレルギーと母子移行抗体との関係、母乳を介する抗原移行に原因するアレルギーの発症機序の解析が可能となった。今回の研究で到達した高感度、ハイスループットアレルギー診断法は、患者への負担の少ない高感度アレルギー診断方法として、血液と体液を材料に広く応用されると期待される。
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Research Products
(3 results)