2008 Fiscal Year Annual Research Report
デュシャンヌ型筋ジストロフィーの新たな治療薬の開発〜血管機能の解析を踏まえて
Project/Area Number |
19659273
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
伊藤 薫 Sojo University, 薬学部, 助教 (10425332)
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Keywords | 筋ジストロフィー / 血管機能障害 |
Research Abstract |
本研究の目的は、デュシャンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の病態に血管機能障害が関与する機序を明らかにし、血管機能の改善を図ることによりDMDの新たな治療法を開発することである。我々は本研究に先立ち、血管平滑筋にはtdystrophinを発現するが骨格筋には発現しないSMTg/mdxマウスを3系統作出し、解析を行なってきた。 平成20年度の研究の主眼は、DMDモデル動物であるmdxマウス、野生型C57BL/10マウス、トランスジェニックマウスを用いて、血管における遺伝子発現を比較検討することであった。そこで我々はmdx、C57BL/10、3系統のSMTg/mdxのうち最も個体数が得られやすかったSMTg/mdx (26)マウスの各6匹の大動脈からtotal RNAを抽出し、Affymetrix社のGeneChip Mouse Genome 430 2.0 Arrayにより発現を調べた。この結果、マウス群間で非常に興味深い発現パスウェイの差異を見出し、データの解析をさらに進めているところである。その中にはmdxマウスの骨格筋において異常が指摘され、我々の2006年の報告(Ito K., et al. Hum Mol Genet, 2006)とも整合性のある系も含まれていた。現在、有意差が見出されたパスウェイに関与する薬剤2種類について、mdxマウスに投与して組織病理学的解析を行なっている。なお、平成19年度以降、臨床像がよりヒトに近いutrophin-dystrophin double knockout (Dko)マウスとSMTg/mdxトランスジェニックマウスを交配し、SMTg/mdx/utrophin(-/-)を作出することを試みた。しかし、元来Dkoマウスのホモ接合体を得ることは難しく、最終的には数匹のSMTg/mdx/utrophin(-/-)を得ることができたのみであった。個体数が揃わず、この系統に関しては今回のGeneChip解析は見送った。今後もマウスの作出は続けていく予定である。 平成20年度はこれらの結果を発表するには至らなかったが、平成21年度にはマウスへの投与結果も含め、研究結果を発表していきたい。
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