2008 Fiscal Year Annual Research Report
インプリンティング遺伝子のゲノムワイドな同定法の開発と、小児腫瘍の病態解明
Project/Area Number |
19659274
|
Research Institution | Gunma Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
林 泰秀 Gunma Institute of Public Health and Environmental Sciences, 研究企画係, 研究員 (30238133)
|
Keywords | 遺伝学 / 遺伝子 / ゲノム / 癌 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
小児腫瘍において、種々の遺伝子がuniparental disomy(UPD)やその他のメカニズムによりインプリンティングが障害されていると考えられ、各腫瘍にはheterogeneityが存在することが予測され、ある腫瘍では別の腫瘍で障害されるインプリンティングは保存されていることが予測される。これらのことにより小児腫瘍では癌遺伝子が活性化されたり、メチル化などにより癌抑制遺伝子が不活化されることによる発癌メカニズムが考えられる。 今年度は神経芽腫で検討した。新鮮神経芽腫215例と24細胞株において、100万SNPプローブを搭載したGeneChip1Mアレイを用いた手法によりUPDの網羅的な探索を行い、共通して認められるUPD領域を網羅的に探索した。Affymetrix社のGene Chipアレイによる神経芽腫の解析では、コピー数の増加または増幅は2番染色体のMYCN領域より少し中心体よりの領域でみられ、この領域にALK遺伝子が同定された。ALK遺伝子の変異の解析では変異は新鮮腫瘍215例中13例(6.1%)、細胞株24株中8株(33%)でみられた。変異がみられた新鮮腫瘍13例中12例が病期3〜4の進展例であった。変異キナーゼは自己リン酸されており、変異のないキナーゼに比べて活性が上昇していた。また変異体を導入したNIH3T3線維芽細胞は形質転換し、ソフトアガールでコロニー形成がみられ、ヌードマウスでも腫瘍を形成した。siRNAによってALKをdown regulationすると神経芽腫の増殖が抑制された(Nature 2008)。今回のALK遺伝子同定の結果は進行神経芽腫の発生機序の解明に貢献し、ALK阻害薬は治療に役立つ可能性が示唆された。
|
Research Products
(53 results)