2007 Fiscal Year Annual Research Report
フェノールのアポトーシス誘導能を利用した皮膚血管肉腫および上皮系腫瘍の治療の開発
Project/Area Number |
19659286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
古川 福実 Wakayama Medical University, 医学部, 教授 (40156964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 有紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (90316117)
金澤 伸雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90343227)
貴志 知生 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10336878)
中村 智之 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10405459)
岡本 勝行 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40405460)
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Keywords | 血管肉腫 / フェノール / 日光角化症 / 治療 / アポトーシス |
Research Abstract |
血管肉腫あるいは悪性血管内皮細胞腫は、極めて予後の悪い疾患で予後改善に有効であった治療方法もない。IL-2は整容的にまた一時的に患者の状態を改善するが結局は肺などへの転移で死亡するのが大半である。また、極めて高価である。対照的に、従来から我々が研究してきた極めて安価なフェノールによってIL-2の局注程度あるいはそれ以上の有効性が血管肉腫あるいは悪性血管内皮細胞腫で認められれば、極めて有望な治療となり得る。また、他の腫瘍病変の増生あるいは新生血管の消滅を誘導できれば、普遍的な新たな治療方法となりうる。 このような目的の基に主に臨床的な研究を行った。患者への施行は、数年前に皮膚悪性腫瘍全般を対象として本学倫理員会に申請し承認を得ている。これを遵守し、皮膚血管肉腫の病変部にフェノール塗布を3例に行った。そのうち、1例には3時間、6時間後真皮上層に多くのTUNEL陽性細胞を多数みられた。もう1例では、陽性数は少ないもののTUNEL陽性が誘導された。手術施行後の経過は観察中であるが、特に副作用は見られなかった。 日光角化症の治療としてフェノールを用いた治療は,治療終了後半年以上の経過観察をした結果,14例中12例で有効で、簡便で有用性の高い治療法であると判断された。組織学的に検討したところ、tumor thicknessで400um以下にこの治療方法が有効で、その判断基準の一助としてはcyclinAの発現の治療前の検討が有意義と思われた。 今後、症例を増やして検討し,in vitroの系にも発展させたい。
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