Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 有紀 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (90316117)
金澤 伸雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90343227)
貴志 知生 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10336878)
中村 智之 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (10405459)
岡本 勝行 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40405460)
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Research Abstract |
2001年から2008年に当科でフェノールによる治療を行い,治療終了後1年以上観察した前癌病変である日光角化症とボーエン病の症例において,本治療の有効性と無効であった症例との差異について臨床病理学的・組織学的に検討した。日光角化症またはボーエン病の患者で,手術を説得するものの,同意しない患者を対象とした。施術前に十分な説明と同意を得,皮膚生検を施行した。使用試薬は主に無水フェノールを用い,単純塗布を基本とした。約1ヶ月ごとに治療効果を判定し,complete responseと判定した際に皮膚生検を行った。尚,下記に述べる様に,無効症例においても皮膚生検あるいは切除術を行った。本治療方法は和歌山県立医科大学倫理委員会にて承認を得ている。日光角化症とボーエン病の治療としてフェノールを用いた治療は,治療終了後1年以上の経過観察をした46例中39例(84.8%)に有効であった。また無効と判断した症例は再度の患者への説明の後,全例外科的に切除を施行した。治療終了後の再発率は2例(4.3%)であり,日光角化症やボーエン病に対するフェノールを用いた治療は,簡便で有用性の高い治療法であると考えられた。組織学的検討として,初診時生検標本の角層と腫瘍の厚さをマイクロメーターで測定し,病巣の厚さと治療効果との関連性を検討した。またPCNA, cyclin A, p53,Tunelを用いて,初診時生検標本の免疫組織化学的染色を施行し,治療効果との関連性を検討した。この結果,腫瘍の厚さが400μm以下の症例では,本治療が奏効することが示唆された。また,施術前の免疫組織化学的検討において,腫瘍増殖性のマーカーのひとつであるcyclin Aの陽性率が高値な症例ほど,本治療に抵抗性を示すことが見出された。
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