2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病新規治療戦略:前駆体遺伝子エクソン17破断によるAβ生成抑制機構
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19659294
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Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
松井 宏晃 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 教授 (90181685)
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Keywords | アルツハイマー病 / βアミロイド蛋白質前駆体遺伝子 / 選択的スプライシング / エクソンスキッピング / エクソンスプライシング促進配列 / エクソンスプライシング抑制配列 / モルフォリノオリゴヌクレオチド / 2'-0-Met RNA |
Research Abstract |
本研究は、Aβ前駆体(APP)遺伝子エクソン17破断によるAβ生成抑制法の確立を目的として実施した。樹立したAPPミニジーン発現SH-SY5Y細胞を用い、アンチセンスオリゴ(AO)のエクソン17破断作用をRT-PCR法にて検討した。平成19年度の研究から、モルフォリノAOは安定だが無電荷のために細胞内導入効率が非常に低いことが判明した。そこで、安定性及び有電荷性を考慮し、5種類の2'-0,4'-C-ethylene-bridged nucleic acid (ENA)と2'-O-methyl RNAのキメラAO(SD17(+1691+146)、SS17(+136/+160)、SS16(-12/+13)、BP16(-37/-13)、ESE4(+971+122)を合成した。SD17/SS16およびSS17/SS16の共導入により、エクソン17破断を確認した。次に、native SH-SY5Y細胞の内在性APP遺伝子を標的にエクソン17破断活性を調べると、APPミニジーン発現SH-SY5Y>native SH-SY5Yであった。この結果は、内在性APP遺伝子由来mRNAの半減期が〜20時間と長いことに起因するものと推測した。本研究結果は、エクソン17破断によりAβ産生を抑制できる可能性を示してはいるが、既報の筋ジストロフィーの原因遺伝子、ジストロフィン遺伝子のエクソン破断に比べると、低効率であった。今後、APP遺伝子エクソン17破断をアルツハイマー病治療に応用するためには、神経細胞内へのAOの効率的な導入法の開発、あるいは、AOに代わる、ベクター等を用い細胞内でアンチセンスRNAを発現させ、スプライシングを制御する方法の開発、加えて、脳内へのAO移行性を高める方法の開発などが必要である。
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