2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳ベータアミロイドやレビー小体の位相X線CT装置を用いた観察の試み
Project/Area Number |
19659302
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
武田 徹 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (10197311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 学 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (10174096)
湯浅 哲也 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30240146)
玉岡 晃 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50192183)
石井 一弘 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (70323293)
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Keywords | ベータアミロイド / レビー小体 / 位相X線イメージング / CT / 形態診断 |
Research Abstract |
X線は生体内を観察する重要な技術として広く利用されている。今目用いられているX線画像は、被射体を透過したX線の吸収差を捉えて形成されるが、X線の波の性質を用いた新しいイメージング法が世界中で注目されている。波の屈折を捉えると、生体構成元素H,C,N,Oに対する感度が従来の透過法より約千倍高くなり、生体軟部組織構造を無造影で画像化できる。我々は、位相情報を画像化する干渉計を用いた位相X線イメージング装置を開発した(Nature Med.2,473,1996;Radiol.214,298,2000)。本装置を用い、老齢ラットの腎臓を撮影し、糸球体機能異常のため尿細管内に蛋白が高密度(周囲に比べて約3-5倍)で集積している画像を得た。これに類似した病的な変化として、痴呆性疾患であるアルツハイマー病でのβアミロイドの脳内沈着があり、高感度な本技術によりβアミロイドを描出できる可能性が示唆され、アルツハイマー病モデル動物で0.04-0.08mm大のβアミロイド斑の脳内沈着の画像化に世界で初めて成功した(Neuroscience 138,1205,2006)。本研究では、アルツハイマー病モデル動物脳、人の脳摘出標本(アルツハイマー病及びパーキンソン病)を撮影し、位相型X線イメージングで詳細なアミロイド斑構造やレビー小体の脳内沈着が描出できるか検討する。 本年は、SPring-8で2007年12月に5日間にわたり、高空間分解能な干渉計を用いた位相X線撮影実験をMedical-bio Trial Use課題の下で実施した。対象は、アルツハイマー病及びレビー小体認知症患者の脳病理標本である。病理標本の免疫染色と得られた位相X線CTデータの再構成を現在行っている。人のアミロイド斑は、動物で得られた病変より小さい可能性が示されている。人の脳の場合、灌流固定がされていないため、血管中に残っている凝固した血液の弁別が重要であることが明らかとなった。血管とアミロイド斑を弁別する画像処理ソフトの開発が必要と考えられる。詳細な解析結果を、次年度中に作成し報告する予定である。
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