2007 Fiscal Year Annual Research Report
オージェ電子放出ハロゲンを利用したアルツハイマー病の新しい治療法の開発
Project/Area Number |
19659308
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
清野 泰 University of Fukui, 高エネルギー医学研究センター, 准教授 (50305603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 正博 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (80336180)
内木 宏延 福井大学, 医学部, 教授 (10227704)
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Keywords | オージェ電子 / 放射線治療 / アルツハイマー病 / 分子イメージング / アミロイドβ蛋白 |
Research Abstract |
本研究は、アルツハイマー病における老人斑の主要な構成成分であるAβ凝集体を早期に発見可能な分子イメージングプローブと内用放射線治療の概念を組み合わせることにより、臨床症状が顕在化する前にAβ凝集体を分解するという新しいアルツハイマー病の治療法を開発することを目的とする。β-線を放出する放射性同位元素を用いた癌の内用放射線治療は臨床的に大きな成果を挙げている。しかし、老人班のようなびまん性の小さな凝集体にβ-線を放出する分子プローブを集積させた場合、β-線の飛程が数mmであるために正常細胞に対する傷害が大きくなる恐れがある。そこで、申請者は、β-線ではなく飛程の短いオージェ電子を利用することにより正常細胞への影響無くAβ凝集体を分解できるのでないかと考えた。具体的には、医療用超小型サイクロトロンを用いて新規オージェ電子放出核種、Br-77を製造し、このBr-77をAβ凝集体に結合する分子イメージングプローブに導入することにより、Aβ凝集体を選択的に分解する治療プローブを開発する。 本年度は、まず医療用超小型サイクロトロンに利用したBr-77の製造方法を検討したので報告する。銅(Cu-63)とセレン(Se-77)を混合し、420℃で2日間加熱する。次いで、530℃で24時間、420℃で4日間加熱しCu_2Seを作製する。作製したCu_2Seをアルゴンガス存在下800℃から1020℃で2時間加熱することによりタングステンターゲットに溶着した。このターゲットを医療用超小型サイクロトロンに装着し、(p,n)反応により放射化した。放射化後、ターゲットを1100℃で1時間加熱し、Br-77を昇華させ0.6N NH_4OHにより回収した。回収した溶液をゲルマニウム半導体検出器でスペクトル分析し、目的のBr-77であることを確認した。収量は120〜180μCi/μAhであった。分子プローブの標識条件の検討や細胞実験に使用するには十分な放射能量を製造することができた。
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