2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19659320
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山城 大泰 Kyoto University, 医学研究科, 助教 (70402914)
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Keywords | リンパ浮腫 / 動物実験モデル / 細胞移植 |
Research Abstract |
<目的>乳癌術後のリンパ浮腫に対する治療として、血管新生療法と同様の細胞移植療法が有効である可能性がある。細胞移植療法の効果を検証できる皮膚欠損のないリンパ浮腫モデルを開発することを目的とした。<方法>生後6週齢のヌードマウス(BALB/c, nu/nu)を1週間訓化した後に5%パテントブルーを手掌皮下に0.02ml注入しリンパ流を同定し手術操作を行った。正確に0.5Nの圧力を加えられるマイクロメーターを使用して、肘遠位、拇指球に相当する部位で直径を測定した。<結果>(1):腋窩部リンパ節郭清、(2):(1)+皮下組織熱焼灼、(3):(1)+肩周囲リンパ管結紮、(4):(1)+大胸筋切除、(5):(4)+肩周囲全周皮下環状焼灼のいずれの操作でも有意な上肢径の増大は認められなかった。パテントブルーは撓骨側の皮下を走行する静脈に流入していたので、肘部でこれに伴走するリンパ管のみではなく静脈自体も結紮すると、肘部分で内側に向かうャントが顕在化して色素が腋窩静脈に流入することが判明した。この操作を行うと拇指球部の直径は術後7日で患側、健側はそれぞれ1.837mm、1.779mm(t-test、p=0.0024)、14日で1.891mm、1.827mm(p=0.024)、28日で1.823mm、1.774mm(p=0.021)、56日で1.787mm、1.808mm(p=0.567)で術後28日まで患側で有意な径の増大を認めた。肘部では径の差はなかった。組織学的検討では径の差がなくなった術後56日目でも皮下の浮腫は明確に残存していたが、84日目には組織学的にも浮腫の遺残は認めなかった。<結論>術後56日程度まで評価が可能なリンパ浮腫動物モデルを確立できた。リンパ浮腫の発生にはリンパ流が流入する静脈系の障害が重要な要因であることが推測された。これまでの結果をまとめ今年度中に学会報告を予定している
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Research Products
(1 results)