2007 Fiscal Year Annual Research Report
乳がんに発現する新規トランスポーター蛋白の機能と抗がん剤の感受性予測に関する研究
Project/Area Number |
19659329
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
梅本 岳宏 Showa University, 医学部, 助教 (00384537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊津野 久紀 昭和大学, 医学部, 助教 (90445601)
鈴木 雅子 昭和大学, 医学部, 研究補助員 (20459217)
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Keywords | 乳がん / 5-FU / トランスポーター蛋白 / 抗がん剤の感受性予測 |
Research Abstract |
ヒト乳がん組織のmRNAよりcDNAライブラリーを構築し、EST data baseより得た塩基配列情報をもとに作成したPCR productをプローブとしてスクリーニングした。結果、単一のクローン(新規トランスポーター)の単離に成功し、Breast Cancer Transport Peptide 1(BCTP1)と命名し、GenBankに遺伝子登録した。BCTP1のKyte&Doolittle analysisの結果、推定二次構造で3回膜貫通を有していた。Sp6プロモーターを用いてBCTP1に相補的なRNA(cRNA)を作成し、その約50ngをアフリカツメガエル卵母細胞に実体顕微鏡下マイクロインジェクションしBCTP1の機能解析を行った。BCTP1の薬剤取り込み実験(MTX,PGE2,Taxo1,DHEA-S,5-FU,・)では、BCTP1は特に抗がん剤5-FUを細胞内に輸送することを発見した。(1)濃度依存性実験:細胞外液の5-FU濃度が50nM,100nM,150nM,200nMと上昇するとともに細胞内への5-FUの取り込みが飽和性に上昇した。(2)時間依存性実験:30、60、90分と5-FUの取り込みが上昇し、120分で飽和された。(3)Na依存性実験:細胞外液中のNaを他の一価イオン(Li,NMTG,Cholin)に置換しても5-FUの取り込みに差がなかった。 以上よりBCTP1濃度依存性・時間依存性・Na非依存性のトランスポーターであることを証明した。また、5-FUを基質としたcis阻害実験では、cisplatinとetoposideで阻害された。現在までに市販されているヒトの乳がん組織にBCTP1抗体の免疫染色を行い、乳管上皮にBCTP1が発現していることを確認した。 平成20年度は、当院で切除された乳がん標本にBCTP1の免疫染色を行い、BCTP1が発現しているかを検討する。
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