2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19659356
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川筋 道雄 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40135067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森山 周二 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (10444879)
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Keywords | 再生医学 / 移植再生医療 / 外科 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
1.本研究は、虚血心筋に肝臓組織を移植することにより、心筋虚血および心機能を改善することが可能か、その機序は何かを検証することを目的とする。肝組織移植による虚血心の治療は、冠動脈血行再建を主とする従来の虚血性心疾患治療において補完的に働き、冠動脈病変が高度で重症心機能障害をもつ多くの虚血性心疾患患者の生活の質ならびに生命予後を改善する可能性がある。 2.19年度計画変更による繰越事業を行った。ラット心筋梗塞モデルで心筋虚血部に肝臓組織を移植し、細胞増殖因子の発現を検討した。具体的には、SDラットで冠動脈左前下行枝を結紮して心筋梗塞モデルを作成した。コントロール群では心機能安定後に閉胸した。肝組織移植群では、肝臓組織を1〜2g採取し細かく裁断し移植用組織片を準備し、これを心外膜を擦過した心筋に移植し、この上に大網を貼付け固定した。大網移植群では、肝組織片の移植は行わず、心筋梗塞周辺領域に大網を貼付け固定した。肝臓ならびに大網組織を移植した1週後に摘出した心臓から、移植組織片を採取し、mRNAを抽出した。RT-PCR装置で、細胞増殖因子の発現を測定した。 3.その結果、大網移植群ではbFGFとVEGFの発現が亢進していたが、肝組織移植群ではbFGF,HGF,VEGFの発現が亢進していた。 4.19年度事業で、心筋梗塞の虚血部に肝組織片を移植することによって、心筋梗塞後リモデリングを抑制し心機能を改善することが判明していたが、その機序の一つとして、肝臓組織や大網から産生される細胞増殖因子、中でも肝臓組織からのHGFの関与が示唆された。本研究は、虚血性心疾患の再生医療に新たな方法論を提案するものである。
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