2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19659370
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
菅野 洋 Yokohama City University, 医学研究科, 准教授 (40244496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 修一 甲南大学, 先端生命工学研究所, 講師 (70340908)
杉本 直己 甲南大学, 理工学部, 教授 (60206430)
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Keywords | ペプチド / 蛋白導入ドメイン / 組織幹細胞 / 神経難病 / 神経再生医療 |
Research Abstract |
蛋白質の機能は、その蛋白質内に存在する機能性ドメインに由来する。その機能性ドメインを構成するアミノ酸配列を合成したペプチドを細胞内へ導入することによって、多分化能を有する幹細胞の分化制御を行うことが可能であれば、再生医療におけるドナー細胞として分化誘導した細胞を用いることが可能である。本研究では、すでに蛋白全体として、神経幹細胞からの神経分化誘導機能が明らかにされているvon Hippel-Lindau腫瘍抑制蛋白(VHL)の内で、神経分化を誘導するドメインの候補としてVHLのリガンドであるelonginB/Cの結合部位のアミノ酸配列を考え、この部分の15個のアミノ酸配列からなるペプチドを合成し、神経幹細胞へ導入すると、ニューロンへの分化が確認された。このペプチドに蛋白導入ドメイン(TATなど)を結合すると、可視化されたペプチドが短時間でほぼすべての細胞内に容易に入ることが観察された。細胞内に入ったペプチドはその後機能し始めて、約8時間後には神経突起の伸長、神経特異的蛋白の発現を認めた。こうした神経分化誘導ペプチドの作用は、神経幹細胞のみならず、多くの多分化能を有する幹細胞(皮膚幹細胞、脂肪幹細胞、骨髄幹細胞、ES細胞)に対しても認められ、更に、幹細胞から神経分化誘導された細胞を神経疾患モデル(パーキンソン病、脊髄損傷、脳梗塞)動物に移植して神経を再生させることにより症状の改善を認めており、移植した細胞が脳・脊髄内で神経細胞へ分化していることが確認できた。また、このVHLに由来する神経分化誘導ペプチドの配列は、elonginB/Cに結合する蛋白群(BC-box motif)の1つであることから、BC-box motifは幹細胞から神経細胞への分化誘導の共通のドメインであることが示唆された。これらの知見から、BC-box motif配列を持つ機能性ペプチドを用いた神経再生医療が将来的に臨床応用されることが期待できると考えられた。
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