2008 Fiscal Year Annual Research Report
3次元磁界測定により神経細胞内・細胞外電流を評価し、神経障害の病態を解明する
Project/Area Number |
19659376
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
友利 正樹 Tokyo Medical and Dental University, 医学部附属病院, 医員 (30431919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 茂徳 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (50396975)
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Keywords | 脊髄誘発磁界 / 神経機能診断 / 細胞内電流 / 体積電流 / 3次元 |
Research Abstract |
我々は神経誘発電位に代わる新しい非侵襲的な神経機能診断方法の開発を目的として神経磁界測定を行っている。細胞内電流による磁界を主に捉える従来の測定に加え、脊髄・末梢神経軸索における活動の主体と考えられる脱分極部に流入する磁界を捉え、評価することがより重要であると考え、脊髄不完全損傷モデルを対象に3次元誘発脊髄磁界を測定した。3成分(X, Y, Z:神経の長軸に平行な方向をY軸、Y軸と垂直な方向をX軸とする)すべてのセンサーから磁界を測定することができ、損傷後には磁界が減衰することが確認できた。従来のZ方向のセンサーでは、細胞内電流による磁界を主に捉えられ、細胞内電流を評価するのに適していると考えられた。また体表面に平行かつ神経の長軸方向に垂直な磁界成分を捉える事が出来るX方向のセンサーからは神経の直上で最大となる磁界が得られ、神経の位置を把握するのに適していると考えられた。一方、体表面と神経の長軸方向に平行な磁界成分を捉える事が出来るY方向のセンサーからは脱分極部に流入する体積電流によると考えられる磁界が得られ、脱分極部の位置を把握するのに適していると考えられた。このセンサーで得られた磁界の減衰着目し、障害部位を推定すると損傷中心部位から1.44±3.57mmとなり、高精度で損傷部位を特定することが出来た。細胞内電流と随伴する体積電流を分けて評価する事は、神経誘発電位測定では不可能であり、神経機能診断における3次元誘発磁界測定の優位性が確認出来た。また、本研究の成果は、ヒト脊髄誘発磁界測定における基礎データとなり、非侵襲的なヒト用脊髄・末梢神経磁界測定装置の開発に大きく寄与すると考えられる。
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