2007 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体quality control機構と麻薬退薬症状
Project/Area Number |
19659401
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山本 達郎 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20200818)
|
Keywords | 小胞体 / オピオイド / 退薬症状 |
Research Abstract |
今まで、小胞体quality control systemと麻薬系鎮痛薬の耐性発現の関係を検討し、その関係を明らかにしてきた。KDEL配列を持つ代表的な小胞体分子シャペロンBiPは小胞体quality control機構を担う中心的な分子シャペロンであり、分泌蛋白や膜蛋白が小胞体膜上で合成される段階から新生蛋白質と相互作用し、折り畳み構造の形成を促進する。また、折り畳み構造の異常な蛋白質と結合し、その増加を感知し、IRE1、PERK、ATF6などの小胞体膜蛋白質の活性化を介して小胞体ストレス反応を開始する機構にも重要な働きをしている。このKDEL受容体に着目し、変異KDEL受容体を過剰発現させたトランスジェニックマウス、変異BiPノックインヘテロマウスにて麻薬系鎮痛薬の耐性発現が抑制されることを報告してきた。このことは、小胞体quality control systemが麻薬系鎮痛薬の鎮痛効果発現に関与していることを示すものである。この研究では、麻薬系鎮痛薬と小胞体quality control systemの関係を退薬症状の発現の関係を検討している。退薬症状の発現に関しては、未だに十分には解明されていない。本年は、まず退薬症状をマウスにて再現性良く発現させるモデルを作製することを目標に研究を進めた。800μg/日の持続投与5日後にナロキソンを投与することにより、再現性のある行動がみられることがわかり、今後このモデルを用いて、変異KDEL受容体を過剰発現させたトランスジェニックマウス、変異BiPノックインヘテロマウスのおける退薬症状発現を検討する計画である。
|