2008 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体quality control機構と麻薬退薬症状
Project/Area Number |
19659401
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山本 達郎 Kumamoto University, 医学薬学研究部, 教授 (20200818)
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Keywords | Bip / モルヒネ / 遺伝子改変マウス / 退薬症状 / ナロキソン |
Research Abstract |
KDEL配列を持つ代表的な小胞体分子シャペロンBiPは小胞体quality control機構を担う中心的な分子シャペロンであり、分泌蛋白や膜蛋白が小胞体膜上で合成される段階から新生蛋白質と相互作用し、折り畳み構造の形成を促進する。また、折り畳み構造の異常な蛋白質と結合し、その増加を感知し、IRE1、PERK、ATF6などの小胞体膜蛋白質の活性化を介して小胞体ストレス反応を開始する機構にも重要な働きをしている。このKDEL受容体に着目し、変異BiPノックインヘテロマウスにて麻薬系鎮痛薬の耐性発現が抑制されることを報告してきた。このことは、小胞体quality control systemが麻薬系鎮痛薬の鎮痛効果発現に関与していることを示すものである。本研究では、麻薬系鎮痛薬と小胞体quality control systemの関係を退薬症状の発現の関係を検討した。変異Bipノックインマウスとwild typeマウスに浸透圧ミニポンプを埋め込み、モルヒネ800μg/日の持続投与を行った。この投与量は、投与後1日目にも55℃ホットプレートテストにて鎮痛効果が現れない程度の少量投与である。モルヒネの持続投与5日後にナロキソンを投与することにより、変異BiPノックインヘテロマウスでは、退薬症状の一つであるjumpがwild typeより有意に多く発現した。しかしながら、他の退薬症状である体をくねらす行動、かむ行動などは、特に有意に増加しなかった。小胞体qualitycontrol機構が麻薬退薬症状にも関係していることが示唆された。また、退薬症状としてのjumpが起こるメカニズムとその他の行動が起こるメカニズムには違いがある可能性が示された。
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