2008 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内胎児発育遅延における胎盤のアディポネクチン受容体を中心とした解析と治療戦略
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19659423
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
林 卓宏 Sapporo Medical University, 医学部, 講師 (70274917)
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Keywords | アディポネクチン / アディポネクチン受容体 / 子宮内胎児発育遅延 / 胎盤絨毛細胞 |
Research Abstract |
特発性の子宮内胎児発育遅延(IUGR)症例における胎盤9例と、母体合併症がなくかつ出生児異常も認めない、分娩週数と分娩方法をマッチングさせた正常症例の胎盤9例において、アディポネクチン受容体の発現を比較した。アディポネクチン受容体は2種類(R1とR2)存在するが、そのどちらも遺伝子レベルではIUGR胎盤において減少傾向が認められた。一方、タンパク質レベルにおいては、R2に関してはIUGR症例の胎盤が正常胎盤と比較し有意に発現低下を認めた。さらにアディポネクチン受容体の下流に位置すると考えられるAMPK、PPARαおよびp38MAPKの蛋白発現にいても検討した。総AMPKとPPARαの発現はIUGR胎盤で有意に低下していたが、AMPKの活性型であるリン酸化AMPKの発現はIUGRおよび正常胎盤ともに認めなかった。従って、AMPKは胎盤機能にとって重要な分子ではないことが示唆された。一方、総p38MAPKを基準にして活性型であるリン酸化p38MAPKの発現を比較したところ、有意にIUGR胎盤で発現が低下していた。また、胎盤絨毛細胞ではp38MAPKの下流に位置すると考えられるPPARγの発現は、IUGR胎盤において低下していた。PPARγは絨毛細胞の分化・血管新生に関与していることから、アディポネクチン受容体の数的低下がその下流のp38MAPK発現に影響し、さらにPPARγ発現低下をまねき、最終的にIUGR胎盤絨毛細胞の機能不全をもたらすことが示唆された。さらに、免疫組織染色によりそれぞれの蛋白局在を確認すると、R1,R2いずれもsyncytiotrophoblast(ST)細胞層に染色を認め、IUGRでこれらの染色性が低下していた。同様にp38MAPK、PPARγ両者ともに正常胎盤に比較しIUGR胎盤ではその染色性は低下していた。従って、IUGR胎盤におけるST細胞層でのこれら分子発現低下がIUGR発症に関して影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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