2007 Fiscal Year Annual Research Report
子宮・卵巣に高発現するケモカインCXCL14の生理的役割の解析
Project/Area Number |
19659430
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原 孝彦 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (80280949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 由紀 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (30332381)
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Keywords | CXCL14 / 子宮 / 卵巣 / マクロファージ / ケモカイン |
Research Abstract |
マクロファージ遊走活性を持つケモカインCXCL14のmRNAは、マウスでは脳・肺・筋肉・脂肪組織に加え子宮と卵巣に強く発現しているが、精巣ではつくられていない。CXCL14の生理的機能を理解し、さらに雌特異的な役割があるかどうかを知ることを目的として、我々はCXCL14欠損マウスを作出し、それを詳細に解析した。CXCL14欠損マウスは雄雌ともに生誕率がメンデルの法則以下となったが、雌マウスのみ体重が10-20%軽くなり、肥満性インスリン抵抗性が改善した。さらに、雌でのみ血中インスリン濃度が低下していた。CXCL14欠損マウスを各種の肥満モデルマウスと交配させたところ、A^yマウスとob/obマウスの両系統の雌において、CXCL14欠損は肥満の程度を緩和させた。CXCL14欠損マウスで観察された軽体重は摂食量低下が主な原因であった。CXCL14ホモ欠損雌マウスの中には、効率は低いものの妊娠・出産・哺育する個体が存在したため、卵巣と子宮の生殖機能が完全に損なわれているわけではなかった。 次に、マクロファージ系細胞株のCXCL14走化性応答を調べてみたところ、まだ予備的な結果ではあるが、雄よりも雌の血中CXCL14の活性の方が高かった。CXCL14mRNA発現量に顕著な雌雄差は観察されなかったため、CXCL14は雌特異的に安定化あるい活性化されている可能性が推察される。CXCL14は種間で高度に保存されており、ELISAやウェズタンブロットに使える抗体がまだ得られていない。今後の研究では、CXCL14タンパク質の量と活性を定量比較する実験系を構築して、CXCL14欠損マウスにおこっている雌特異的な表現型の分子原因に迫っていく計画である。
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Research Products
(5 results)