2008 Fiscal Year Annual Research Report
小腸不全症に対する治療法の開発-無粘膜大腸作成の可能性についての基礎的研究-
Project/Area Number |
19659459
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
野田 卓男 Kagawa University, 医学部, 准教授 (50237848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 篤史 香川大学, 医学部, 助教 (10363219)
谷 守通 香川大学, 医学部, 助教 (10335854)
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Keywords | 小腸不全症 / 小腸幹細胞移植 / 塩基性線維芽細胞成長因子 / ラット |
Research Abstract |
小腸不全症に対する治療法開発の基礎的研究として、昨年は無粘膜大腸の作製を行った。本年度はより完全な人工小腸をめざして、有茎遊離無粘膜大腸内腔に小腸幹細胞を移植した。 1)6週SD雄性ラットを用いて、有茎遊離大腸1.5〜3cmを腸間膜対側で開き、大腸粘膜を機械的に剥離した。8Fr栄養チューブをステンとし再度管腔構造とし、両端は盲端とした。胎仔小腸を取り出し、酵素処理して得た細胞塊を、前述の有茎遊離大腸内腔に注入した。移植後3週間で作製大腸を取り出して病理組織学的検討を行い、小腸粘膜が再生していることを確認した。 2)小腸粘膜の再生能力は低く、塩基性線維芽細胞成長因子を加えたグループを新たに作成し、再生効率を上げることをめざした。 3)小腸移植研究会に出席して、ES細胞から消化管への分化誘導法について質凝討論を行った。 腸管の発生は大変複雑で、未だ人工腸管は実現していない。完全な人工小腸を作成するための最初の段階として、既存の大腸筋層を利用することで蠕動能を、小腸幹細胞を移植することで吸収能を持たせることができれば、より生理的な小腸に近づくことになる。 1,2)により、腸管内腔に小腸吸収粘膜を作ることができ、さらに再生効率の改善法を模索しており、今後の人工小腸の開発につなげることができたと自負している。小腸再生効率を高める方法として、ES細胞、iPS細胞から分化誘導も考えられ、最も有効な上皮作製方法を確立するために3)の活動が極めて有意義であった。 今後さらに再生効率の高い小腸粘膜を生成する方法を検討し、現在までの成果を学会、論文発表を行う予定である。
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