2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19659460
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
浜田 淳一 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (50192703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 賢 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (00322850)
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Keywords | 自己組織化 / 多孔質膜 / 浸潤 / 転移 / メラノーマ |
Research Abstract |
我々はこれまで自己組織化を利用して作製したポリ-ε-カプロラクトンを素材とした多孔質薄膜上でヒト癌細胞を培養すると,平膜上で培養した場合に比べ細胞増殖性が低下することを見い出してきた.本研究では癌細胞の浸潤性に及ぼす多孔質薄膜の影響について検討した.In vitroにおけるメラノーマ細胞(C8161,A375M,MeWo)の浸潤性は,I型コラーゲンゲルおよびマトリゲルを用いたアッセイで評価した.直径15mmのカバーガラスに直径10μmの小孔の開いた多孔質膜あるいは同一素材でできた平膜を貼付けその上でメラノーマ細胞を培養した.48時間後,細胞接着面がI型コラーゲンゲルあるいはマトリゲルに直接接するようにカバーガラスごとをゲル上に置き,浸潤性を調べた.その結果,多孔質膜あるいは平膜上で培養されたメラノーマ細胞の浸潤性は同程度であった.つぎに,メラノーマ細胞を多孔質膜あるいは平膜上で48時間培養した.細胞をトリプしンなどを用いて剥がし回収して浸潤アッセイを行なった.その結果,I型コラーゲンゲルへの浸潤性には多孔質膜と平膜との間で有意な差は認められなかった.一方,多孔質膜上で培養したメラノーマ細胞は平膜の場合に比べ,マトリゲルに対する浸潤性が低下する傾向にあった.カスペース3/7の酵素活性を検討したところ,多孔質膜はアポトーシスを誘導しないことがわかった.以上の結果は,多孔質薄膜という微細構造が癌細胞の浸潤を抑制する可能性を示しており,新たな転移・浸潤阻害法の概念を提供するものとして評価できる.
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Research Products
(3 results)