2008 Fiscal Year Annual Research Report
外エナメル上皮の潜在的可能性の追求と歯根再生療法への展開
Project/Area Number |
19659482
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
原田 英光 Iwate Medical University, 歯学部, 教授 (70271210)
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Keywords | 外エナメル上皮 / ヘルトビッヒ上皮鞘 / 歯根再生 / Wnt / real time imaging |
Research Abstract |
(目的)外エナメル上皮のもつ潜在的な特性の解明と外エナメル上皮の細胞を用いた歯根未完成歯の歯根形成誘導療法の開発に向けた基盤技術の構築を2つの柱として研究する。(今年度の結果)歯冠形成から歯根形成移る時期の歯胚を用いて外エナメル上皮細胞をDiIでラベリングして細胞の動きを観察したところ,外エナメル上皮の細胞が増殖して移動し,ヘルトビッヒ上皮鞘の内層と外層の2層の細胞層を形成していく過程が観察された。また,同時期のスライスカルチャーによる器官培養法でサービカルループの細胞の動きを観察した結果,内エナメル上皮よりも外エナメル上皮において活発な細胞増殖が観察され,外エナメル上皮細胞が増殖に伴い,前方に押し出されながらヘルトビッヒ上皮鞘が形成される様子が観察された。以上の結果より,ヘルトビッヒ上皮鞘の形成には外エナメル上皮が大きく関わっていることが明らかとなり,歯根再生の上皮細胞として外エナメル上皮の有用性が高まった。またきHarverd Medical SchoolのRichard Maas教授との共同研究によってある種の遺伝子を抑制することでWntシグナルを外エナメル上皮細胞で活性化すると,外エナメル上皮からも歯堤様上皮が発生し、新しい歯胚が生まれることを示した。しかし,ある時期を過ぎるとこの現象は観察されず,歯冠形成の比較的初期の外エナメル上皮のみに未分化性が維持されていると推測できた。また,BrdUのラベリングの実験から,外エナメル上皮には細胞分裂周期の遅いエナメル上皮幹細胞様の細胞が存在することが明らかとなった。これらの結果から歯の発生に必要なエナメル上皮幹細胞がある時期の外エナメル上皮には存在すると考えられた。加えて、岩手医科大学歯科矯正科において矯正治療目的のために摘出される第三大臼歯歯胚の歯根形成部からエナメル上皮を分離培養し,現在不死化中である。この細胞の一部を用いて歯の再生や歯根再生の可能性を検討中である。
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