2007 Fiscal Year Annual Research Report
Sez12ノックアウトマウスを用いた顎形態形成に関する研究
Project/Area Number |
19659483
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
梶原 景正 Tokai University, 医学部, 講師 (00204397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 穣 東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
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Keywords | Sez12 / ノッケアウトマウス / 顎顏面領域 / 形態形成 / DiGeorge症候群 |
Research Abstract |
ヘテロ型のSez12ノックアウトマウス(KOマウス)からホモ型KOマウスを作製したところ、離乳間近のホモ型KOマウスの約15%に母親マウスによる下顎損傷が認められた。この原因を検討したところ、ホモ型KOマウスは野生型マウスと比較して顎顔面領域に特徴的な形態異常が認められた。骨格標本を作製して6匹の野生型と8匹のホモ型KOマウスとの顎顔面領域を比較検討したところ、ホモ型KOマウスでは上顎骨の長径が短く、野生型マウスとの統計学的処理でp<0.001の有意な結果となった。一方、下顎の形態には大きな変化は認められなかった。以上のことから、母親マウスによる下顎損傷の原因のひとっとしてホモ型KOマウスが離乳時期までに上顎骨の発育が停滞するため、顎運動の異常が起こり、母親が授乳時何らかのストレスを受けたため仔マウス下顎に損傷を与えたと考えられる。 ホモ型および一部のヘテロ型KOマウスには軽度ではあるが持続性けいれんが認められ、歩行異常も観察された。骨格筋には形態的・機能的異常は認められず、行動解析を行なったところ、ロータロッドによる運動協調試験で明らかな異常がKOマウスで認められた。従って協調運動と言われる歩行運動・咀噛運動といったリズミカル行動に問題があることがわかった。一方、Sez12遺伝子の発現が小脳プルキンエ細胞に認められ、さらにKOマウスの小脳プルキンエ細胞には細胞脱落・空胞変性といった組織像が認められた。以上の結果から、Sez12はいわゆる錐体外路系神経回路、おそらく神経ネットワークの構築に重要な役割を果たすことが予想される。このためKOマウス顎運動に障害がおこり、これが原因となり母親による下顎損傷の可能性も予想される。
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