2007 Fiscal Year Annual Research Report
歯内歯周疾患の病態形成機序-新規疾患モデルを用いた樹状細胞の動態解析
Project/Area Number |
19659496
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
興地 隆史 Niigata University, 医歯学系, 教授 (80204098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉羽 邦彦 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30220718)
吉羽 永子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10323974)
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Keywords | 樹状細胞 / 根分岐部病変 / ラット / MHCクラスII分子 / CD11c / CD86 |
Research Abstract |
樹状細胞は生体内で最も有力な抗原提示細胞であり、この機能を通じて外来抗原刺激に対する免疫応答の発動と質の決定という重要な役割を演じる。これらの細胞が根分岐部における生体防御機構の発動様式の特異性に密接に関連すると推定されるが、根分岐部病変に対する適切な動物モデルは現在まで開発されておらず、根分岐部歯根膜で営まれる免疫防御機構の実態は不明のままである。本研究ではこの点に着目し、新たな実験的根分岐部病変誘発法を採用し、樹状細胞を中心とする各種免疫担当細胞の動態の検索を通じて根分岐部病変の成立・持続過程で営まれる免疫機構の解明をはかることを目的とするものである。 本年度は先ず、正常な歯根膜における樹状細胞の分布様式について、光顕、電顕免疫組織化学的検討を実施した。すなわち、ラット下顎第一臼歯を検索対象とし、根分岐部に加えて根側(近心、遠心)、根尖部について、MHC class II分子、ED1(抗ラットマクロファージ/樹状細胞)、CD11cあるいはCD86発現細胞の検出を行った。その結果、各マーカー陽性の樹状細胞の密度が部位により異なること、また根分岐部では近心部に次いで高密度に樹状細胞が分布するとともにCD86陽性細胞の割合が他部位と比較して高いことが明らかとなった。さらに露髄開放により髄管経由の根分岐部病変を誘発させたところ、術後24時間ではMHC class II分子、ED1、CD11c陽性細胞数に有意な変化は見られなかったものの、CD86陽性細胞は有意な増加を示した。従って、髄管経由の根分岐部病変の初期成立過程において、樹状細胞の活性化が生じる事が推定された。
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