2008 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄細胞におけるオスモティックストレスと硬組織形成能に関する細胞生物学的解析
Project/Area Number |
19659498
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
永田 俊彦 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (10127847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 淳一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (10195315)
堀部 ますみ 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (50346615)
稲垣 裕司 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (50380019)
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Keywords | 歯髄細胞 / オスモティックストレス / 硬組織形成 / 石灰化 / オステオポンチン |
Research Abstract |
オスモティックストレスに呼応して歯髄細胞の硬組織形成能に変化が生じるか、またオステオポンチン(OPN)の発現に変化が生じるかを検証するために、歯髄細胞培養系に低張/高張ストレスを付与してその石灰化能を測定し、OPNの発現量について調べた。前年度、Perry & Okaの報告(BBA,1980)に従い細胞培養にMedium199培地を用いたが、石灰化について再現性が乏しかった。そこで本年度はKasugaiらの報告(Archs oral Biol.,1993)に基づいてEMEM培地で細胞培養を行った。低張培地は、EMEM培地に、NaClとKClを含まない特注EMEM培地を加えて希釈し作製した。高張培地は、EMEM培地にNaClを添加し作製した。ラット上顎切歯より歯髄を採取しコンフルエントになるまで培養した後、50μg/mlアスコルビン酸と2mMβ-グリセロリン酸を含む各種塩濃度のEMEM培地+10%FBSにて細胞培養(ストレス付与)を行った。ストレス付与後、細胞の形態変化を観察するとともに、石灰化度をvon Kossa染色により測定し、培養液中に分泌されたOPNをELISA法で測定した。その結果、(1)歯髄細胞培養系において、塩濃度40%以下の低張培地では細胞の形態変化が認められた。また塩濃度80%以下の低張培地では石灰化能の低下が認められた。更に塩濃度90%以下の低張培地ではOPN産生の上昇が認められた。(2)同培養系において、塩濃度+200mM NaCl以上の高張培地では細胞の形態変化が認められた。また塩濃度+25mM NaCl以上の高張培地では石灰化能の低下が認められた。更に塩濃度+25mM NaCl以上の高張培地ではOPN産生能の低下が認められた。以上より、(1)歯髄細胞培養系においては、低張および高張のいずれの浸透圧ストレスによっても硬組織形成能が低下すること、(2)同培養系においては、塩濃度依存的にOPN発現の低下が生じ、総蛋白量に対するOPNの比率も塩濃度依存的に低下することが明らかになった。上記結果は再現性が得られるとともに、オスモティックストレスは歯髄細胞の硬組織形成能やOPN発現に影響を及ぼし、修復象牙質の形成に関与することが示唆された。
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