2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19659517
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東野 史裕 Hokkaido University, 大学院・歯学研究科, 准教授 (50301891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 正信 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (20162802)
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (00109456)
樋田 京子 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (40399952)
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Keywords | ARE-mRNA / アデノウイルス / E4orf6 / c-fos / c-myc / 核外輸送 / 安定化 / HuR |
Research Abstract |
AU(アデニン・ウラシル)-rich element(ARE)はc-fos、c-myc、COX-2などの細胞の増殖に関わる遺伝子のmRNAに存在し、AUUUAをコアとする繰り返し配列から成る領域である。我々はアデノウイルスのがん遺伝子産物E4orf6がARE-mRNAを核外輸送・安定化することにより細胞をがん化することをこれまでに見出している。E4orf6を発現させたがん細胞はヌードマウスに腫瘍を形成できることから、E4orf6は発がんのみならずがん細胞の悪性化に関わるタンパクとしても従来から知られている。従ってE4orf6によるARE-mRNAの輸送・安定化は細胞のがん化やがんの悪性化と強い関連を持つことになり、同時に輸送されるHuRもがん化やがんの悪性化の指標となりうる。本研究の目的は口腔がん細胞でHuRタンパクの細胞質への局在と、そのがん細胞の悪性度との関連を調べ、HuRの局在が口腔がん細胞の悪性度の指標になるかどうか検討することである。 口腔がん細胞のHSC-3、Ca9.22と正常細胞のHGF、PDLをHuR抗体を用いて免疫染色を行った。その結果、がん細胞では細胞質側にもHuRタンパクが存在することがわかり、これに対して正常細胞では主に核のみにHuRが局在していることが判明した。次に上述のがん細胞と正常細胞を核と細胞質に分離し、核と細胞質分画のHuRタンパクの量をウエスタン法により検討した。その結果、がん細胞では細胞質側にHuRが蓄積しているのに対して、正常細胞では細胞質側にあまりHuRが存在しないことがわかった。 以上の結果より、HuRは口腔がん細胞中で核外輸送されていることが明らかになった。現在口腔がんの組織のHuRの局在を検討する準備を進めており、口腔がんの悪性度との関連を調べる予定である。
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