2007 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素培養による歯髄幹細胞の分画の選択培養とそのキャラクタライズ
Project/Area Number |
19659525
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上田 実 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (00151803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
各務 秀明 東京大学, 医科学研究所, 客員准教授 (80242866)
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Keywords | 移植・再生医療 / 再生医学 / 歯学 / 低酸素培養 / 歯髄由来幹細胞 |
Research Abstract |
体性幹細胞は患者本人から採取可能な幹細胞であり、臨床への応用が期待されている。近年、歯髄内にも体性幹細胞が存在することが報告された。歯髄幹細胞は抜去歯牙から採取可能なため、有望な細胞源として注目を集めている。しかしながら、体性幹細胞の多くは分化傾向を持つ前駆細胞で構成されているため、その可塑性は限定的であり、今後高い可塑性を持つ優れた幹細胞分画の選択培養法の開発が望まれる。本研究は、低酸素培養法に着目して、歯髄培養細胞からの幹細胞分画の選択培養法の開発を目指すものである。幹細胞は組織が障害を受けたときに障害部位に遊走し、組織新生に重要な役割を果たすと考えられている。したがって、分化細胞や前駆細胞と比較して、幹細胞は低酸素・低栄養などの細胞障害刺激に耐性を持つものと推測される。低酸素・低栄養状態は、培養中の酸素濃度、グルコース濃度、血清濃度を変化させることによりin vitroで再現できることが報告されている。豚歯髄から単離した歯髄細胞を様々な低酸素・低栄養状態(酸素濃度:21%,5%,〈0.1% 0_2;グルコース濃度:4.5g/L,1.Og/L,Og/L;無血清)で培養したところ、生存細胞数や細胞死の種類が変化することが明らかになった。本研究期間中には、豚歯髄細胞に対する低酸素・低栄養状態の影響の検討を行った。RT-PCRとFlowcytometryによるキャラクタライズの結果、豚歯髄細胞はCD31^-,CD34^-,CD45^-,CD90^+,CD105^+,CD146^-,CD150^+の表面抗原を持ち、0.34%がSTRO-1陽性、88.0%がalpha smooth muscle actin陽性の細胞集団であることが明らかになった。多分化能を検討したところ、骨芽細胞、軟骨細胞には分化したが、脂肪細胞には殆ど分化しなかった。酸素濃度に関しては、無酸素(〈0.1%0_2)が最も生存細胞数が少なかったが、低酸素(5%0_2)と通常酸素(21%0_2)では細胞生存数に有意な差を認めなかった。グルコース濃度に関しては、グルコース非存在下ではネクローシスが誘導されやすく、グルコース存在下ではアポトーシスが誘導されやすいことが示された。
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Research Products
(2 results)