2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19659530
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
中城 公一 Ehime University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (90314880)
|
Keywords | 口腔癌 / 低発現遺伝子 / マイクロアレイ / Akt2 |
Research Abstract |
癌の増殖、浸潤、転移において重要な機能を担っている癌遺伝子を同定し、分子標的とすることにより、治癒あるいは癌との共存が期待できる可能性が種々の悪性腫瘍において示唆されている。本研究では、マイクロアレイでは検出不可能な低発現遺伝子群の中より口腔癌治療に有用な標的分子を同定することを目的とした。実際に、マイクロアレイ解析ではtotal RNA 1 μgを用いた場合、リアルタイム定量化RT-PCR法で25-30サイクルまでに増幅可能な遺伝子群しか検出できないため、検出不可能であった遺伝子が本当に未発現なのか、わずかに発現しているのかどうかについては不明である。当初、正常口腔粘膜組織3検体および口腔癌組織10検体を用いてマイクロアレイ解析を行ったところ、正常および癌組織いずれにもその発現が検出できなかった遺伝子は4,209種類であった。さらに、解析対象遺伝子数を絞り込むために口腔癌組織20検体を加えてマイクロアレイ解析を行った結果、その遺伝子数は1,092種類となった。また同時に、口腔癌における低発現遺伝子として同定したAkt2の機能解析を行った、マイクロアレイ解析ではAkt2の正常口腔粘膜上皮組織と口腔癌組織における発現差は検出できなかったが、ウェスタンブロット法では口腔癌組織における明らかな過剰発現が認められた。Akt2に対する合成small interfering RNA(siAkt2)を作成し、ヒト培養口腔扁平上皮癌および唾液腺癌細胞株に導入したところ、いずれの細胞においても内在性Akt2の発現を90%以上抑制した。つづいて、siAkt2のin vitroおよびin vivoにおける癌細胞増殖における影響を検討したところ、著明な抗腫瘍活性を示した。以上の結果より、マイクロアレイ解析ではその発現差が検出できない遺伝子が存在し、その中にはAkt2の如く口腔癌の治療標的として有用な分子が含まれていることが示唆された。
|
Research Products
(6 results)