2009 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼と脳発達における歯と歯根膜の役割―無歯顎モデルマウスを用いた統合的研究―
Project/Area Number |
19659543
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 教明 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40230750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝崎 龍典 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (70399757)
田中 基大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (90420629)
古賀 義之 長崎大学, 病院, 講師 (50175329)
北浦 英樹 東北大学, 大学病院, 助教 (60295087)
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Keywords | 無歯顎モデルマウス / 顎運動 / 筋電図 / 咀嚼機能 / op / opマウス / 歯根膜機械受容器 / 顎口腔機能 |
Research Abstract |
歯および歯根膜の存在が咀嚼機能・脳機能の発達にどのような役割を果たすかを解明するため、先天的に歯が欠損、すなわち歯根膜機械受容器からの感覚入力のない無歯顎モデル(op/opマウス)の咀嚼機能の解析を行い、機能の発達の程度について、健常マウスと比較した。 その結果、矢状面における咀嚼サイクルは、健常マウスでは閉口相、前方移動相、開口相の3相に分けられたが、op/opマウスでは、明らかな前方移動相が認められず、閉口相と開口相の2相に分けられ、咀嚼パターンの獲得に有意な差がみられた。食品の硬度が低下するに従って、前方移動相の周期時間が短縮するという傾向がみられ、柔らかい食品の咀嚼に適したパターンが習得されたものと考えられる。周期時間について、健常マウスと比較してop/opマウスの全周期時間と開口相時間は有意に長かった。 筋活動に関して、活動量は咬筋、顎二腹筋ともに両群に有意差がみられなかった。活動時間は、咬筋では両群に有意差がみられなかったものの、顎二腹筋の活動時間はop/opマウスの方が健常マウスよりも有意に長かった。以上のことから、op/opマウスは、開口相において、舌を積極的に使用して、食物を口蓋に押しつけ、すりつぶすような咀嚼様式を獲得したことが示唆された。 歯が存在しないことが咀嚼運動に及ぼす影響には、歯根膜機械受容器からの入力が閉口筋活動の末梢性調節あるいはフィードバックに働かないことの他に、歯がないための咬合ガイドの欠損による咀嚼運動経路の安定性の低下が考えられるものの、歯および歯根膜機械受容器の存在が顎口腔機能の健全な発達に重要な役割を果たしていることが示唆された。 また、先天的に歯根膜機械受容器が欠損していたとしても、筋紡錘や、顎顔面領域の他の感覚受容器が歯根膜機械受容器の役割をある程度補うことも考えられた。
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Research Products
(2 results)