2007 Fiscal Year Annual Research Report
メチル化DNA結合タンパクの異常が顎骨の形成と咀嚼リズムに及ぼす影響
Project/Area Number |
19659544
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
白川 哲夫 Nihon University, 歯学部, 教授 (00187527)
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Keywords | メチル化DNA / MeCP2 / 顎骨 / 咀嚼リズム / 青斑核 / ニューロン / チロシン水酸化酵素 / エックス線マイクロCT |
Research Abstract |
本年度は免疫組織学的手法により、マウスの脳内でのMeCP2の局在と発現レベル、ならびにチロシン水酸化酵素(TH)との共存を調べた。MeCP2の欠損マウスMeCP2(-/y)は、ジャクソンラボよりヘテロ欠損雌性マウスMeCP2(+/-)を購入し、野生型雄性マウスと交配することにより得た。2〜3か月齢のMeCP2(-/y)マウス、MeCP2(+/-)マウス、ならびに野生型雄性マウスについて、環流固定後30μmの厚みで連続切片を作製し、ウサギ抗MeCP2抗体(Affinity BioReagent社、およびEpigentek社)ならびにマウス抗TH抗体(Boehringer Mannheim社)を一次抗体に用い、DAB法にてMeCP2とTHの局在を調べた。両者の共存の確認は、Ni-DAB併用による二重染色法ならびに蛍光二重染色法にて行った。野生型マウスにおいて、MeCP2は主としてニューロンに特異的に発現し、細胞核に強いシグナルが認められた。MeCP2陽性細胞は前頭皮質に多数認められ、視床、視床下部、橋、延髄にも陽性細胞が広く分布していた。橋の青斑核において、THとMeCP2が共存する神経細胞が多数確認できた。一方、MeCP2(-/y)マウスについては、MeCP2陽性細胞は全く認められず、青斑核におけるTH陽性細胞の数は野生型マウスに比べ少ない傾向があった。 生後11週で死亡し、その直後に冷凍保存したMeCP2(-/y)マウス1匹について、小動物用エックス線マイクロCTを用いて頭蓋骨、顎骨、歯の3次元計測を行い、野生型マウスと比較した。MeCP2(-/y)マウスでは、同週齢の野生型マウスと比較して骨の成長不良が認められたが、歯ぎしりによる歯の咬耗など、論文にて報告されている歯の形態変化は明確ではなかった。今後、MeCP2(-/y)マウスの例数を増やして頭蓋領域の形態異常の有無をさらに検討する予定である。
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