2007 Fiscal Year Annual Research Report
KK-Periomeデータベースを用いた新規歯周病創薬ターゲットの網羅的探索
Project/Area Number |
19659549
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 正寛 Osaka University, 歯学研究科, 講師 (40215562)
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Keywords | EST / 歯根膜 / 網羅的解析 / 遺伝子プロファイリング / データベース / 細胞外マトリックス / 発生 / 歯胚 |
Research Abstract |
本研究では、歯根膜の発生および再生に関わる分子群の全貌を明らかにするために、ヒト歯根膜Expressed sequence tag (EST) libraryを作製し、歯根膜発生に関わる機能分子の網羅的解析とデータベース化を試みた。これまでに10,000ESTについて配列を解析し、クラスタリングを行い、4,378の独立したESTクラスターを得た。その内、発現頻度3回以上のクラスター(617ESTクラスター)を抽出し、機能別に分類してヒト歯根膜ESTデータベース(KK-Periomeデータベース)を構築した。KK-Periomeデータベースは481種類の既知遺伝子群(78%)、101種類の機能未知遺伝子群(16%)と35種類の機能未知翻訳産物群(6%)で構成されていたKK-Periomeデータベースに登録された遺伝子のクラスターの中で、組織特異性に関わる細胞外マトリックス(extracellular matrix: ECM)に分類されたクラスター(ECMクラスター)の中より、歯根膜発生過程で特異的な発現パターンを示すECMクラスターをスクリーニングした。その結果、歯根膜の発生原基である歯小嚢と、最終分化した歯根膜に特異的に発現するECMクラスターが存在することを明らかにした。これらの中でF-spondinは歯小嚢特異的な発現パターンを示すが、歯根膜ではその発現が顕著に減少した。一方、tenascin Nは成熟した歯根膜に特異的な発現を示した。これらの結果よりF-spondinとtenascin Nは、歯小嚢と歯根膜を識別できる歯根膜細胞系譜に特異的なマーカー分子である可能性が示唆された。以上の結果から、KK-Periomeデータベースは歯根膜の表現型を反映したデータベースであることが確認された。また、さらに多くのマーカー分子を同定することにより、歯根膜発生の分子メカニズムの解明に寄与できると期待される。次年度はこれらの遺伝子の機能を解析する予定である。
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