2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19659556
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小池 文彦 Nihon University, 医学部, 助手 (20215148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高尾 恭一 日本大学, 医学部, 助手 (90187922)
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Keywords | 歯科心身医学 / 舌痛症 / 味覚 / 味覚受容体 |
Research Abstract |
舌痛症と味覚障害の関連を明らかにするため味覚障害を有する舌痛症患者の舌味覚受容体の遺伝子発現レベルの変化を治療前後で比較した。対象はろ紙ディスク法による味覚障害の検査で味覚閾値の上昇がみられた舌痛症患者計10人で治療経過を追って舌痛の度合い、ろ紙ディスク法検査、舌味覚受容体の遺伝子発現レベル観察を行いその結果を比較検討した。舌痛の度合いは11段階数値的評価スケールを用い、ろ紙ディスク法による味覚障害検査は鼓索神経領域、舌咽神経領域でテーストディスク(三和化学研究所)を用いて1〜5段階の濃度で4種類の味覚認知域を調べその値を平均した。舌味覚受容体の遺伝子発現レベルは舌縁部後方で舌を非観血的に擦過することにより得られた材料にRT-PCR法を用いてT2R受容体の遺伝子発現レベルを観察した。結果 初診時8例で味覚受容体遺伝子発現レベルの低下が見られた。舌痛の改善とともに舌味覚受容体遺伝子発現レベルが上昇した症例は6例であった。舌味覚受容体遺伝子発現レベルが変化しなかった症例は4例でうち2例は治療効果が見られないものであった。考察 味覚障害を有する舌痛症患者では味覚受容体の遺伝子発現レベルが低いものが多い。舌味覚受容体の遺伝子発現レベルの改善は舌痛症の治療効果を反映する傾向が見られた。このことは舌痛症と味覚障害の間に関連があることを示し舌味覚受容体の遺伝子発現レベルの観察が舌痛症の診断に役立つことを示唆している。舌味覚受容体の遺伝子発現レベルの低下は局所の外傷のみならずストレスが原因である可能性が考えられた。ストレスが強い症例やうつ病と診断された病悩期間が長い患者では治療に難渋し味覚受容体の遺伝子発現レベルにも変化がなかった。舌の痛みは局所的な侵襲、ニューロパシー、心因的なものが複雑に絡み合って発症しているものと考えられそれぞれの病状に合わせた治療法が求められる。
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