2008 Fiscal Year Annual Research Report
虚血肢をもつ患者における皮膚血流改善のための看護ケアの検討
Project/Area Number |
19659599
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
北山 幸枝 Shukutoku University, 看護学部, 准教授 (20419740)
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Keywords | 虚血肢 / 皮膚血流 / ABI / マイクロスコープ / 皮溝 |
Research Abstract |
平成19年度の調査結果から、ABIが正常範囲内にある健康成人において、ビデオマイクロスコープを用いた下腿部皮膚の肉眼的観察所見と、皮膚血流や血行動態を反映する皮膚温や酸素飽和度の大小(高低)との間には、特徴のある所見や傾向はみられなかったことから、今年度は、まず下肢血流障害の所見が片側にある追加対象において前年度と同様の測定項目・方法手順でパイロットスタディを行い、観察項目の検討を行った。 対象は80代男性。足部冷感と足部および足趾皮膚温の左右差が2.5℃あり、いずれも右側で低かった。下腿皮膚の血行動態を反映する指標であるABIは0.67で正常値よりも低かった。足背動脈の走行部位である足背部、前脛骨動脈の走行部位である足首部(内顆より10cm中枢側の下腿前面)の2部位における皮膚のマイクロスコープの二値化画像所見は、足首部においては左右差がみられなかったが、皮膚温度差のある足背部において「皮溝」の本数、平行度、密度が、左よりも右において少なく疎である特徴がみられた。 以上の結果から、明らかに左右下腿において血行状態の異なる同一対象では、皮膚末梢血流循環を反映する皮膚温の低いほうで、マイクロスコープを用いた皮膚の肉眼的所見として「皮溝」の配列が異なる傾向がみられた。このことから、皮膚の肉眼的観察という看護ケア技術が、皮膚血流障害という異常を早期発見できる可能性が示唆された。今後さらに同様の対象で追試を行い、さらに虚血肢をもつ(ABI値が0.8以下の)対象においても同様の測定項目・方法で調査する必要があると考える。
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