2007 Fiscal Year Annual Research Report
エビデンスに基づく老年看護促進のためのトランスレーショナル・リサーチ導入の試み
Project/Area Number |
19659611
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
松岡 千代 University of Hyogo, 看護学部, 准教授 (80321256)
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Keywords | 看護学 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
本研究は、「トランスレーショナル・リサーチ(Translational Research:以下TRとする)」と呼ばれる研究手法を活用し、エビデンスに基づく老年看護を臨床に適用する介入モデルを実践し、モデルの改良を図りながら量的・質的側面からその有効性を検証することにある。本研究で採用する介入モデルは、IOWA大学で開発された、「エビデンスに基づく実践のステップモデル(IOWAモデル)」(Titler,etal,2001)である。 平成19年度は、IOWAモデル検証の準備段階として、IOWAモデルに関する文献とTRに関する研究論文のレビューを行って、IOWAモデルの日本での適用可能性に検討した。その結果、IOWAモデルの中で、特に最新のエビデンスの取り入れのステップに関して、臨床看護師による英文献の抄読と翻訳に関しては限界があり、それについては大学との共同研究で進めていく必要性が確認された。また、これまでに開発されている老年看護実践ガイドラインについて、臨床側の要求度の高いものを選定してもらい、その翻訳を順次行ってきた。 また、米国アリゾナ州立大学看護学部主催の第8回Evidence-Based Practice Conferenceに参加し、主に米国におけるEBN実践・研究の現状について知見を得た。米国の多くの大規模病院では、病院看護部にEBN委員会が設置され、病院全体をあげてEBNに取り組んでおり、その成果に関しては介入研究を実践して実証していた。このように、EBNの実践・研究は,大学や研究所レベルで実験的に行われる段階をすでに過ぎ、臨床レベルで臨床看護師が積極的に取り組む段階に達していることを実感した。このことから、我が国においても、EBN実践と研究が臨床において積極的に取り組まれるような仕組み作り、すなわちEBNを臨床に取り入れていく過程モデル(日本版IOWAモデル)の作成と検証、加えて看護管理部門に対するEBN実践への理解促進、さらに臨床でのEBN実践を実際に行うことによる効果検証の必要性が改めて確認された。
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