2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスベクターを用いたレスキューマウス作出による遺伝子機能解析法確立とその応用
Project/Area Number |
19670003
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平井 宏和 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 教授 (70291086)
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Keywords | プルキンエ細胞 / 小脳 / レンチウイルス / 樹状突起 / 運動失調 |
Research Abstract |
これまでにレンチウイルスベクターをもちいて、小脳の各種細胞に特異的に遺伝子発現させる技術を確立した。今年度はプルキンエ細胞特異的に遺伝子発現させる技術をもちいて、自然発生運動失調マウスの運動障害をレスキューできるのかを検討した。生後6日の運動失調マウスに欠損する遺伝子を導入したところ顕著な運動障害の回復が観察された。パッチクランプ法をもちいて小脳シナプス伝達及びシナプス可塑性を調べたところ、運動失調マウスで見られた異常はすべて回復していた。本研究成果は、自然発生の運動失調マウスを生後に遺伝子導入することで回復させたはじめての例である。 第3世代レンチウイルスベクターは安全性が高く、細胞障害性もほとんどないと言われているが、本当に何の毒性もないのかは詳細に検討されていない。そこで、GFPを発現する高力価レンチウイルスベクターを、生直後のマウス小脳に接種し本当に神経細胞への毒性をもたないのかを検討した。生後0日でレンチウイルスベクターの接種を受けたラットのプルキンエ細胞を生後21日の時点で観察した。樹状突起を詳細に解析したところ、ウイルス感染したプルキンエ細胞の樹状突起の長さは約10%短かった。次にウイルス感染したプルキンエ細胞をパッチクランプ法で調べたところ、シナプスの成熟に有意な異常が見られた。これらの異常はウイルス感染による直接的な影響以外に、プルキンエ細胞の発達期にGFPを過剰発現させた結果である可能性もある。これら2つを見分けるために、極めて弱いL7プロモーターを組み込んだレンチウイルスベクターを用いて同様の実験を行った。その結果、シナプスの成熟異常は認められなかった。ただ、樹状突起の枝分かれや全体的な形態に軽度ではあるが有意な異常が観察されたことから、レンチウイルスベクターの感染自体が、わずかではあるが毒性をもつことが示唆された。
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[Journal Article] Rescue of abnormal phenotypes in delta2 glutamate receptor-deficient mice by the extracellular N-terminal and intracellular C-terminal domains of the delta2 glutamate receptor.2009
Author(s)
Iizuka A, Takayama K, Torashima T, Yamasaki M, Koyama C, Mitsumura K, Watanabe M, Hirai H., akayama K, Torashima T, Horiuchi H, Hirai H
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Journal Title
Neurobiology of Disease 35
Pages: 457-465
Peer Reviewed
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