2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19675001
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 茂弘 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (60260618)
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Keywords | π電子系 / 有機エレクトロニクス / 典型元素 / 電子物性 / 光物性 |
Research Abstract |
本研究は,有機エレクトロニクス分野の飛躍的進展につながる突出した物性,あるいは,これまで達成し得なかった未踏の物性の発現を目的に,革新的な機能性分子の創出に挑む.典型元素を機軸とした分子設計,独自の新反応開拓,非結合性分子間相互作用を巧みに生かした高次構造制御の3つを組み合わせたアプローチを基に取り組んでいる.本年度の成果は,以下の三つに纏められる. (1)高効率固体発光:固体状態において100%に近い量子収率で発光する強発光性有機固体の設計では,立体的にかさ高い置換基の導入による分子間相互作用の抑制,および,ストークスシフトの大きな分子内CT発光の実現による分子間エネルギー移動の抑制が鍵であることを,ホウ素化合物の合成を通して示してきた.この2つの要件を満たす全く異なる骨格として,ホスホールオキシド骨格を鍵構造にもつ化合物群を新たに設計,合成し,それらが結晶状態において高い量子収率の蛍光を示すことを明らかにした. (2)低閾値増幅自然放出発光:増幅自然放出発光(ASE)の閾値が極めて低い材料の開発に取り組んだ.より大きな放射失活速度定数をもつ分子ほどASE特性の閾値は低くなる.大きな放射失活速度定数をもつ分子の設計として,ケイ素置換基とπ電子系との軌道相互作用による電子的修飾を考え,ジシリルフェニレンおよびテトラシリルフェニレンを一つの基本骨格として設計した.この骨格とフルオレンとを構成単位に含む一連のポリ(アリーレンエチニレン)の合成を行い,これらが有機分子としては上限に近い大きな放射失活速度定数をもつことを明らかとした. (3)結晶状態での高電荷移動度:決定的に高い電荷移動度をもつ有機トランジスタ材料の開発を目指し,その候補としてビスペンタレンを新たに設計した.この骨格を形成するための新たな合成法として,ビス(0-アリールカルボニルフェニル)アセチレンの還元的環化反応の開発に成功レた.
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Research Products
(22 results)