2011 Fiscal Year Annual Research Report
高性能SiCパワーエレクトロニクス実現に向けた理想MOSFET作製プロセスの創成
Project/Area Number |
19676001
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡部 平司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90379115)
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Keywords | 薄膜界面 / パワーエレクトロニクス / MOSデバイス |
Research Abstract |
本研究では、SiC半導体が有する優れた材料物性を最大限に活用した理想MOSFETの作製技術を確立することを目的としている。平成23年度では当該研究課題にて実施してきたプラズマ応用複合プロセスが実施可能な装置を導入し、本研究課題を締め括る最終年度として、以下の研究成果を得た。SiC-MOS界面の物性解析では、放射光光電子分光測定により熱酸化SiO_2/SiC界面の原子構造を評価し、薄膜領域ではSi-MOSデバイスに匹敵する急峻かつ平坦な界面構造が形成されていることを明らかにした。しかし、熱酸化膜厚の増加に伴い、MOS界面には原子レベルの乱れが発生し、これに伴ってSiC-MOSデバイスの電気特性が劣化する。また各種プラズマプロセスによりSiC-MOSデバイスに導入される電気的欠陥について詳細に評価した結果、プラズマ中での短波長光照射によりSiC-MOSデバイスの特性劣化が加速されることを明らかにした。さらに波長可変レーザーを用いた実験から、200nm以下の短波長光がSiC-MOS劣化を引き起こす主要因であることを示した。一方、窒素添加アルミナ(AlON)高誘電率ゲート絶縁膜の下地SiO_2についても特性改善への取り組みを継続した。従来の犠牲酸化処理やゲート絶縁膜形成工程でSiO_2/SiC界面に蓄積した炭素不純物がSiC基板中にも拡散する結果、このSiC表面に形成したSiO_2絶縁膜の特性劣化につながることを明らかにした。その対策として、ゲート絶縁膜形成前のSiC基板中炭素不純物の低減技術を提案し、我々が最終目標とするAlON/SiO_2/SiCゲートスタックの製造工程に応用し、界面電気特性と絶縁特性に優れたSiC-MOSデバイスを実現した。これらの研究成果は国内外でも高く評価され、本年度だけでも3件の国際会議、1件の国内会議での招待講演依頼を受けた。
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