2010 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおける性特異的ペプチド性フェロモンの鋤鼻神経系での受容メカニズムの解明
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19677002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東原 和成 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00280925)
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Keywords | フェロモン / 鋤鼻器官 / マウス / フェロモン受容体 / ESP1 / ペプチド / 性行動 |
Research Abstract |
本研究では、オス涙から分泌されてメスの鋤鼻神経を発火させる性特異的ペプチドESP1(約7kDa)を認識する受容体の同定およびその受容体を発現している神経が脳のどこに投射しているかという神経回路の可視化を行う。また、ESP1がメスに対してどのようなフェロモン作用をもつか行動解析を行う。最終的には、ESP1受容体ノックアウトマウスを用いて、「ESP1-鋤鼻受容体-神経回路-行動」の一連のシグナル経路を明らかにする。22年度は、オスの涙に分泌されるペプチドESP1が、V2Rp5受容体を介してメスの性行動を誘導するフェロモンであることを明らかにした成果を、Nature誌に発表した。哺乳類における初めてのペプチド性の性フェロモンであり、揮発性のフェロモンだけでなく、不揮発性のフェロモンで直接接触による個体間コミュケーションが存在することが明らかになった。様々な近交系のマウスおよび野生由来のマウスにおいて、ESPペプチドファミリーの外分泌腺における発現を解析した結果、ESPファミリーの発現パターンが系統間によって異なることがわかった。ESPファミリーの発現パターンが個体間の認識に使われている可能性を示唆している。また、V2Rp5のESP1応答の再構成、ESP1刺激により活性化されるメスマウス神経回路の解析および放出される神経伝達物質や神経ペプチドの同定は引き続き継続中である。一方、オス涙中にESPファミリー以外の鋤鼻刺激因子が新たに存在することを見出した.
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[Journal Article] The male mouse pheromone ESP1 enhances female sexual receptive behaviour through a specific vomeronasal receptor2010
Author(s)
Haga S., Hattori, T, Sato, T., Sato, K., Matsuda, S., Kobayakawa, R., Sakano, H., Yoshihara, Y., Kikusui, T., Touhara, K.
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Journal Title
Nature
Volume: 466
Pages: 118-122
Peer Reviewed
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