2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19678002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 崇 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (40291413)
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Keywords | 光周性 / 概日時計 / 時計遺伝子 / 甲状腺刺激ホルモン / ウズラ |
Research Abstract |
四季の環境の変化に適応できるか否かは生物にとって死活問題である。したがって動物は季節に応じて繁殖、換羽(毛)、代謝、渡り、冬眠などの生理機能や行動を積極的に変化させながら環境の変化に適応している。この際、日長(光周期)の情報が最も重要な役割を果たしているため、これらの現象は光周性(photoperiodism)と呼ばれている。1960~80年代に様々な動物において光周性に関する生理学的な研究が盛んに行なわれ、光周性の基本的な性質について理解が進んだものの、その分子機構はいかなる生物種においても明らかにされていなかった。 光周性の制御には約24時間のリズムを刻む概日時計が関与していることが古くから知られているが、どこに存在する概日時計が光周性を制御しているかは明らかにされていない。そこで、概日時計を制御する時計タンパク質BMAL1に対する抗体を作成し、「光周時計」の局在を明らかにすることを目的とした。その結果、光周性を制御するマスターコントロール因子TSHを合成する下垂体隆起葉(pars tuberalis)に概日時計が存在することが明らかになり、この時計が「光周時計」として働いている可能性が示唆された。今回の研究で光周時計の局在が明らかになったことで、今後この時計がどのように日長を測定しているかを解明するための道筋がつけられた。
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