2009 Fiscal Year Annual Research Report
ケミカルバイオロジーによるアルツハイマー病治療薬創製を目指した分子基盤解明
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19679001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富田 泰輔 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (30292957)
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Keywords | アルツハイマー / セクレターゼ / アミロイド / ケミカルバイオロジー / 構造解析 |
Research Abstract |
γセクレターゼは、アルツハイマー病(AD)発症機構に決定的な役割を果たすAβペプチドの産生を担うプロテアーゼであり、その活性制御は根本的治療法に結び付くことが期待されている。しかし同時にγセクレターゼはNotchなど様々な一回膜貫通型蛋白の切断・シグナル伝達にも関与している。そのため単純な活性阻害では重篤な副作用が生じることが明らかとなっており、AD治療においてはAβ産生特異的なγセクレターゼ活性の制御法開発が求められている。現在までにいくつかの基質特異性を持つ低分子化合物が同定されているが、しかしその分子機構は明らかではない。申請者は本研究課題において、γセクレターゼの生化学・分子生物学、さらには低分子化合物を用いたケミカルバイオロジー・構造生物学的研究を駆使し、γセクレターゼに基質特異性を付与する分子機構の解明を目的として研究を遂行した。今年度においては、βアミノ酸をビルディングブロックとするヘリックスペプチドがγセクレターゼ阻害剤となることを見出し、その改変を行ってAβ42を優位に抑制するペプチドの創成に成功した。またNotchシグナルを抑制することなくAbeta産生を抑制するγセクレターゼモジュレーターの新規骨格を持つ化合物群の開発に成功した。一方、Notchシグナルを抑制するγセクレターゼ阻害剤が抗がん活性を発揮すると同時に抗血管新生作用を持つことを生体を用いて示した。また化合物の標的分子同定において効率良く精製を行うことが可能となる新規ニトロベンゼンする本リンカーの開発に成功した。ニカストリンを標的とするモノクローナル抗体を元に改変を行い、その単鎖抗体がγセクレターゼを不安定化させることを見出し、ニカストリンが阻害剤の標的分子となりうることを示した。
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Research Products
(28 results)