2010 Fiscal Year Annual Research Report
オーファン輸送体による多剤耐性機構の解明と新規治療薬開発
Project/Area Number |
19679002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西野 邦彦 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30432438)
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Keywords | 感染症 / 薬剤耐性 / 多剤耐性 / 病原性 / 異物排出 / 薬剤排出 / トランスポーター / 細菌 |
Research Abstract |
現在、臨床現場において様々な多剤耐性菌が出現し、耐性菌感染症は医療従事者が直面する重要な問題である。トランスポーターは生体異物や複数の抗菌薬を細胞外へ排出することにより細菌に多剤耐性をもたらす。これまで、病原細菌に数十個もの薬物・毒物を排出する輸送体が存在することを明らかにした。さらには、サルモネラが宿主中で毒性を発揮するためにトランスポーターの存在が必須であることも見出した。このことは、これらトランスポーターが何らかの生理的基質の輸送体であることを物語っている。これら輸送体は生理的基質が未知という点で、「オーファン輸送体」であると考えられる。本研究では、「オーファン輸送体」が担う生理機能を明らかにし、また、輸送体を阻害することにより、細菌の薬剤耐性と病原性を同時に軽減させることのできる新薬を開発することができるか、可能性を探る。今年度はオーファン輸送体の制御機構を中心に研究を進め、以下の結果を得た。 宿主環境中での細菌オーファン輸送体制御機構を進める中で、腸内細菌が産生するインドールや、宿主が産生する胆汁酸によって、オーファン輸送体が誘導されるという新機構を明らかにした。本誘導には、サルモネラ特異的制御因子が関与していることを明らかにした、さらに、その詳細を明らかにする上では、蛋白質結晶の構造解析が必要であり、誘導シグナルと制御因子の複合体共結晶化に取り組んだ結果、基質結合型制御蛋白質の結晶構造を解くことに成功した。複数の化合物をマルチサイト結合により、制御因子が認識して、オーファン輸送体を誘導していることが明らかになった。 これらの情報をもとに、オーファン輸送体のさらなる機能解明につなげ、耐性菌感染症克服に役立てたい。
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Research Products
(17 results)