2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19679003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹田 潔 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20309446)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 自然免疫 / IL-10 / Stat3 |
Research Abstract |
現代その患者数が増加の一途をたどる炎症性腸疾患の主な原因は、炎症を誘導する獲得免疫系のT細胞の暴走によるものと考えられ、これまでの研究の中心も獲得免疫細胞でした。一方で、自然免疫細胞が獲得免疫細胞の働きを制御することがわかってきていましたが、炎症性腸疾患の発症における自然免疫細胞の役割には不明な点が多くありました。 本研究では、腸管粘膜固有層に特異的に存在している自然免疫細胞の中で、CX3CR1highCD11b+CD11c+細胞がCD4陽性T細胞に結合して、制御性T細胞とほぼ同じ効率で増殖を抑制することを見出しました。そこで、この自然免疫細胞を、「制御性ミエロイド細胞(M_<reg>細胞)」と名付けました。M_<reg>細胞のT細胞増殖抑制機能は、IL-10を介したStat3活性化のシグナルが消失すると、障害されることを明らかにしました。腸管炎症を発症するモデルマウス(免疫不全マウスにナイーブT細胞を移入するマウス、あるいは自然免疫系特異的Stat3欠損マウス)に、正常なM_<reg>細胞を与えると腸炎の症状が改善することを明らかにしました。これらの結果から、腸管粘膜固有層に存在するM_<reg>細胞は、T細胞の増殖を腸管で抑制することにより、腸管炎症の発症を抑制していることが明らかになりました。本研究成果は、自然免疫細胞が腸炎を直接抑制する仕組みを明らかにしたもので、炎症性腸疾患の治療法開発に新たな可能性を与えると期待されます。
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Research Products
(10 results)