2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの発生・老化における癌原遺伝子の新たな役割の解明
Project/Area Number |
19679005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 洋子 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80332500)
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Keywords | RAS / 癌遺伝子 / Noonan症候群 / 遺伝子診断 / 先天異常 |
Research Abstract |
申請者らは2005年にHRASの生殖細胞系列(受精卵に始まり全身に存在)での変異を先天奇形症候群であるCostello症候群で同定した(Aoki et al.,Nature Genetics,2005)。それに引き続き2006年にcarcio-facio-cutaneous(CFC)症候群の原因がKirsten-RAS(KRAS),B型RAFキナーゼ(BRAF)の生殖細胞系列の変異であることを世界に先駆けて報告した(Niihori,Aoki et al.Nature Genetics,2006)。この研究の目的は1)患者で同定された遺伝子変異を導入したモデル動物を作製し、癌原遺伝子の新しい役割を明らかにすることである。2)未だ遺伝子変異の明らかでない類縁疾患の新規原因遺伝子を明らかにすることである。 1)これまでにNoonan症候群類縁疾患と考えられる患者全250サンプルを収集した。PTPN11,HRAS,KRAS,BRAF,MEK1/2,SOS1全遺伝子の解析を行っている。2)最近Noonan症候群2例でGEF(guanine-nucleotide exchange factor)の一つであるSOS1に遺伝子変異(D308Y,E846K)を同定した。1例は3代にわたるNoonan症候群の家系例で顔貌異常と心奇形(PS,ASD)があるが、精神遅滞や骨格異常は認めない。CFC症候群で既知遺伝子陰性の患者を新たに収集し全31人で調べたところ、3人にSOS1遺伝子変異が同定された。これらの結果からSOS1遺伝子変異はNoonan症候群とCFC症候群の両方の表現型を示すことが明らかになった。3)これまで既知の原因遺伝子が陰性である患者48人に対して、候補遺伝子解析を開始した。その結果これまでに報告の無い遺伝子変異を同定している。4)モデルマウス作製を開始した。5)RAS/MAPKシグナル伝達経路に先天奇形症候群に同定されたことからこれらをRAS/MAPK症候群を名づけReview論文を発表するにいたった。またこれらの疾患の説明と遺伝子変異データベースを包括する「The RAS/MAPK syndromes homepage」の公開を開始した(www.medgenmed.tohoku.ac.jp/MAPK syndromes)。
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Research Products
(5 results)